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【東大理転激闘記1】夏休み編

小学四年生で法学部に憧れるほど文系として生きてきた人間が
東大に入って理転した話の続き。
これからは「東大理転激闘記」と題して連載していこうと思う。

(上の写真は、まだ余裕があった9月初旬に江ノ島を訪れた際に撮影)

0. ここまでのおさらい

 こちらの前回の記事では理転するまでの話をまとめた。ぜひ読んで欲しいし、実際多くの方に読んでいただけたのでありがたい限りである。

ただ読むのが面倒という方向けに簡単にまとめると、

・夏に参加したSFPで理転を進められる
・そこから進振りを真面目に考える
工学部電子情報工学科と後期教養学部総合社会科学分科(相関社会科学コース)で迷う
最後は勢いで電子情報工学科(以下EEIC)に決めて理転が決まる

という感じだ。
 これから進振りを控えている人は一度読むと面白いと思うぞ。


ちなみに後日談として、
・理転を進めてきたSFPの先生は俺は経済に進んだと思っていた(びっくりしていた)
・理転を進めてきた高校の先生はびっくりしてたし、めちゃくちゃ喜んでいる風でもなかった
という感じだったので、多分冗談半分で勧めてたんだと思うし、人間思わぬところで他の人の人生変えてるんだなってことを感じます。いい意味で。


1. EEICへのメール

 EEICのホームページは結構みやすくてかっこいいのだが、進学選択のページにこんなことが書かれていた。

電子情報工学科・電気電子工学科では、2008年度より全科類枠を設けており、多様な科類からの進学が可能です。文科系科類からの進学希望者は、必ず志望届を提出する前に当学科の教員にご相談ください。進学内定後(4学期以降)に必要な数学や物理等の素養などについて説明します。

 実を言うと、EEICの進学説明会等に参加して文系からもいけるしサポートしてくれるのは知っていたのでちゃんとホームページとかは確認していなかったのでメールしないといけないことも知らなかった。父親に7月くらいに理転も考えていることを伝えると、「こんな記載があったがメールはしたのか」と言われて初めて知った次第である。

 当然、「もちろんもうしてあるよ」と父親に答えた5分後にメールをEEICの先生に送った。

 するとこんな内容のメールが返ってきた。
(実際はこれを100倍お堅くした感じの文面)

 講義についていくためには高校の理系レベルの数学と物理はやっておいてね。特に物理や微積分は前提知識になるから自習しておいてね。
 文科系出身者で活躍している人もいるし、学科としてもサポートしていく体制はあるよ。

 ちなみにこのメールは関野先生という方から送られてきたのだが、自分が知っているそれに一番近い名前の人として駿●予備学校の●谷先生の顔が浮かんでしまって、なぜかすごく怖いイメージを持っていた。
 とか言っているが、●台の関●先生の授業は一回くらいしか受けたことないし、EEICの関野先生は優しすぎるしオンライン授業上手いし素晴らしいお方だった。大変失礼いたしました。


2. 天敵

ぼくのてんてきぶつりだ。
しょうがっこうのときからてこのもんだいはとけなかった。
ちゅうがくでもよくわからなかったから、ずっとてんてきだった。

 そんな僕は高校2年時に理科を選択することになる。物理基礎か地学基礎、化学(基礎なし)か生命科学(生物基礎的な)で選べた。
 文系のみんなは地学生物にしていたけど、なぜかできると思ったらしく物理基礎を化学を選んだ。やはり頭がおかしい。この頃から逆張り癖が強い…。

 化学は例の理転を勧めてきた先生で好きだったので、よく当てられて
「なんで文系に当てんだよおい。他のやつらは鉄●会でやってんだからよお…」
とはなっていたが、なんとかついてはいけていた。

ただやっぱり物理基礎はわからなかった。毎回赤点ギリギリで戦っていた。時間をかけていなかったので当然ではあったが、高校生になった僕の頭脳も天敵を前にすると小学生同然だった。

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皆さんもこの図をみたことがあるだろう。今も好きになれない。

重力と摩擦力はまだわかる。でも垂直抗力ってなんだよ。
日常生活で「あ、垂直抗力!」ってなったことありますか?僕はないです。

そんなだったので物理は愚か、物理基礎もわからないし嫌いという状態だった。


3. 物理と向き合う日々

 今年の夏休みはコロナの影響もあってそんなに予定が詰まっていなかったので勉強する時間が取れた。そこで物理と向き合うことにした。

 ただ世の高校生が2年間くらいかけて学ぶ物理を全て2ヶ月の自習だけで仕上げるのは無理な気がしたので、とりあえずどんな単元があるのかを見ることにした。すると、「力学」「熱力学」「電磁気」「振動・波動」「原子」みたいな感じで分かれていた。

 自分の進む学科の名前には「電子」と入っていたので、

「電磁気わかっとけばええんやろ、たぶん」

ってことで電磁気をやることにした。

 色々調べた結果この参考書が良さそうだということで丸善丸の内本店に行って買ってきた。流石に物理基礎範囲の力学くらいはわかっておいた方がいいかということで「力学・熱力学」も一緒に買った。

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 この参考書、なんかキャラクターが喋りながら進んでいくので、それなりにわかりやすくて、進めやすい。理系のやつには「名門の森だろ」とか言われたけど、そういうやつには気をつけろ。まずはちゃんと入門しないと森で遭難してしまうからな、騙されるなよ。

 この時の勉強のスタンスとしては、

「とりあえずそういうものだと思って覚える」

であった。垂直抗力が何かとか本質的にどうだとかあんまり気にしすぎず、そういうものなんだと思ってとりあえず覚えてみる。結局入口はそれくらいが大事なのだと悟っていた。

 そんなノリで物理基礎範囲の力学と電磁気をやり、ここまでは流石に文系もセンターで使うレベルなので理解できた。
 ちなみに私はセンター試験を化学基礎・生物基礎で受験しているので高校2年時の理科で習った知識は一切使われていない。何をしていたんだろう…

 戻ると、そこから基礎なし範囲の電磁気をやり始め、電気の部分はなんとかわかったが、磁気が難しい。急に2次元から3次元になるので、ステップが多くなって混乱してしまう。

 あと途中で円運動のモーメント的な話が出てきて、参照先が思いっきり基礎なしの力学のところで結局力学も最後まで一応やったりした。繋がっとんのかい、っていう。今はもうほとんど覚えてないけど…。

 そんなこんなでなんとか力学と電磁気学だけ高校物理範囲は一周だけした感じで夏休みは終わりを迎えることとなった。


4. そういえば…

 もう一度EEICの先生からのメールを見返そう。

 講義についていくためには高校の理系レベルの数学と物理はやっておいてね。特に物理や微積分は前提知識になるから自習しておいてね。

 → ん、「数学」やってなくね?

 そう、完全に数学の存在を忘れていたのだ。

 しかし焦ることはない。前期課程で数3範囲の微積分をやる「数学I」という授業を取っていたのだ!つまり、既習。やったぜ。

 文系の前期課程にはもう一つ「数学Ⅱ」という授業があり、こちらは線形代数を扱うのだが、連立方程式を行列で解くくらいしかやらず、一次独立さえもやらないので、こちらはヨビノリさんの動画で学んで単位を取っていた。(数学Iはマクローリン展開とか簡単な微分方程式くらいまでやる)

 そんなわけで、数学は微積分と行列の基本計算、物理は高校レベルの力学と電磁気の知識を持った状態で授業を迎えることとなる。どうなってしまうのか!?

 ここまでですでに3000字を突破し、4000字の授業レポートの進捗が0字であることを思い出したので、ここから先は次回とします。

 お楽しみに!

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おまけ:シケタイだった数学Ⅰを撤退した話

 東大の前期課程は語学ごとに30人くらいのクラスに分かれていて、各クラスで授業ごとに担当(=試験対策担当”シケタイ")を決めて試験対策をするのですが、それで1年の前期に僕が担当したのが例の「数学Ⅰ」の授業でした。

 一限の授業なため、みんな朝起きられず、授業も証明中心でそこまでエキサイティングなものでもないため、初回は立見も出ていたくらいの授業でしたが、受講人数は回を経るごとに指数関数的に減っていきました。そんな中、シケタイの僕は一度も欠かすことなく出続け、ノートをしっかりと取っていきました。

 そんな優秀なシケタイだった僕ですが、数学の試験勉強というものは問題演習が命。実際のテストも計算が解けるかどうかが問われるもので、授業中の証明は一コマとして成立させるための時間稼ぎみたいなものです(そんなことはないですごめんなさい)。

 前期課程はひたすらテストが連続するので、一教科にめちゃくちゃ時間をかけられるわけではなく、数学の演習をやっていたものの、前日に微分範囲までしか終わっていないことに気づき、ここから積分を仕上げるのは無理だと察し、撤退しました。(テストを受けなかった)

 ちゃんと全部授業に出ていたシケタイが撤退するのは冷静に意味わからないし、Fランムーブすぎてシイタケになってしまったわけですが、授業を受けていたことでちゃんと勉強すれば解けることはわかっていたので、あえて撤退をして来年再履修をすることを決めたわけです。いわば、戦略的撤退です。

 そして2Sは数学Ⅰの単位さえ取れば前期課程の修了条件を満たす形になり、点が悪いのはほとんど必修で追い出しも一科目やるかやらないかくらいだったので、数学Iに集中することができました。実際かなり問題演習できましたし、まさに戦略が功を奏したのです。

 というわけで、帰ってきた成績表を見てみましょう。こちらです!

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ありがとうございました

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 後日談として、理転が決まったのを見た下クラ(後輩)に、

” 数学撤退しても理転できるってクラスで話題になってますよ ”

って言われて悲しくなったので、理転したい人は理系っぽい科目は撤退しないようにしましょう。

ちなみに僕は1Aで基礎統計も撤退して、2Sで再履修しました!

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(ここまで4050字を読んでいただいたみなさま、本当にありがとうございます。これをそのままレポートとして提出したくなってきました。)

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