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自分の「苦手」は、誰かの「のびしろ」

子どもが小さい頃、スマートフォンの写真フォルダは子どもの写真であふれ返っていた。子どもが11歳(息子)、13歳(娘)になった今、私のスマホには、料理の写真ばかりがずらりと並ぶ。私の料理、ではなくて、息子の。

「写真を撮って!」と子どもにねだられるのは、たいてい「自慢の料理ができた時」だ。

最初は、「納豆サンドイッチ」「パン粉トマトパスタ」など、お世辞に美味しいとは言い難い創作料理がテーブルに並べられていたが、最近は、たんぱく質、糖質、ビタミン、バランスよい献立が作られるようになった。
「ワンプレートの方が片付けるの楽だよね」
「鍋は、肉も野菜もとれるし簡単だから」
と、主婦みたいなセリフも言うようになった。

仕事に集中すると、家事や育児がおざなりになり、時間どおりに夕飯が出せなかったり、学校のさまざまな行事を忘れたりする。その私の不完全な隙間を拭うようにして、子どもたちが、伸びていく。

母になって10数年。「何でこんなにアホなんだ」と自分に嫌気が刺すことも山のようにあったけれど、「ごめん」じゃなくて「ありがとう」でいいのだ、と思うようになった。

「ありがとう!助かったよー」「めっちゃ美味しいよ」「上手になったね」でいいのだ。誰かの役に立っている、という気持ちが、自己肯定感を育む。自分の苦手は、誰かの「伸びしろ」だ。

もう一つ、伸びていく時についやりたくなるけど、不要だなと思うのが、『もっと伸ばしたくなる』親心だ。

「もっとこういう料理やったら?」「こうした方がいいよ」とアドバイスすると、途端に情熱の火が消えるのが分かる。自分で動画を見て、作りたい料理を試行錯誤する、そのプロセスが面白いんだろうと思う。

親が子どもに出来ることなんて、大してないんだなぁと実感しながら、一緒に生きていられる日々に感謝して楽しんでいる。


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乗越 貴子@ DRIVEキャリア事務局
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