入道雲
入道雲よ
お前は仏門に入ったのではないのか
ならば入滅せよ
俺の前に立ちはだかるな
お前は若かりし頃
神童と呼ばれ
真理を究めようと
青雲の志をいだいたのではないか
それがいつの間にか
出世間は出世欲となり
権威と名誉を
むさぼるようになった
その妖怪のごとき相貌は
周囲を畏怖させる
お前は自分を太陽だと
勘違いしているのではないか
入道雲よ
お前はやがて消えゆく存在なのだ
かき集めた雲は
雨あられとなって降り注ぐのだ
だから、頼むから
俺の前に現れないでくれ
俺は、ただただ悲しいのだ
自分の末路を映し出されているようで
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