FRBパウエル議長議会証言 (2019年7月)
2019年7月10日、11日と2日間にわたって行われたFRBパウエル議長の米国議会証言の要点をまとめたいと思います。
FRB議長は半年に一度、経済情勢や金融政策について米上下両院の議会で証言を行う事になっています。議会証言でFRBの経済見通しや今後の政策方針が明らかになるため、市場でも注目されています。
なお、パウエル議長は6月下旬のFOMC会合にて政策金利の引き下げを示唆する発言しています。
An ounce of prevention is worth a pound of cure (予防は治療に勝る)
この発言を受けて、市場は7月末のFOMCにて政策金利の引き下げが行われることを完全に織り込みました。しかし、その後発表された雇用統計が予想を大きく上回る強い内容であったため、本当に利下げが行われるのか?利下げが見送られるかも?という疑念が市場に広がりました。
従って、今回の議会証言がいつも以上に注目を集めていました。
結論から言うと、パウエル議長は改めて利下げをシグナルしました。複数の議員から、良好な雇用環境の中で利下げを行う必要性を問われましたが、物価上昇率が目標に満たない事、世界経済・貿易摩擦の先行き不確実性が大きい事を繰り返し主張しました。また、日本が陥っているように、金融政策が後手に回り、結果的にゼロ金利から抜け出せなくなることで、景気後退時に緩和余地がなくなる事を懸念する旨の発言をしています。
つまり、パウエル議長は、先月の発言である"予防は治療に勝る"で示した利下げ姿勢を改めて強調しました。また、トランプ大統領はパウエル議長に対して批判的な意見をする事が多いですが、今回の議会証言においては議員達はパウエル議長に支援的でした。議会も利下げを容認するということです。
改めて利下げをシグナルした議会証言を受け、米国株式市場はダウ、S&P500ともに新高値を更新しています。
Youtubeで議会証言が見られますので、是非聞いてみると雰囲気が分かるので良いと思います。またWall Street JournalのFedウォッチャーNick Timiraosの記事は今回の件を端的に纏めてありお勧めです。
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