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Photo by
komekoarts
ごはんの友は開封の感触から始まる
書くンジャーズ、10月3週目のお題は【ごはんの友】。
僕のごはんの友のNo.1は迷いない。
物心ついてから40年ほど、ずっとこれだ。
味付け海苔。
ずっと関西に住んでいる人間が海苔といえば味付け海苔だ。
子どもの頃は弁当のおにぎりにも湿った味付け海苔が巻いてあった。
だからパリパリ焼き海苔が巻いてあるのコンビニおにぎりは僕にとっては厳密にはおにぎりではない。
味付け海苔は小袋に分けられている。
小袋を左手のひらに乗せて、上から右手のひらを叩きつける。
「パン!」といい音をして袋のどちらかの先が裂ける。綺麗に裂けたら気持ちがいい。
だから大きなプラスチック製の大きな瓶に数十枚入った今主流の海苔は僕にとっては味付け海苔ではない。
綺麗に避けた裂け目から5味ののりを小皿に出す。
別の小皿に醤油を垂らす。
箸で器用に糊を一枚だけ持ち上げて、海苔の腹を醤油に少しつける。
醤油のついた側をごはんの上に乗せる。
また器用に箸で上から押さえつけてごはんを海苔の中に巻き込む。
そうしてできた海苔巻きを口に運ぶ。
まだ海苔はパリパリで、醤油の香りの中心にほかほかご飯が巻き込まれている。
味付け海苔は開封の感触から箸で海苔巻きを作る過程、そして口に運んで味わうまで。
全てがごはんの友だ。
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