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「水」と「土」と「炭素」に関する最新の科学的知見から、なぜ林業でなく森林業なのか?
2024年3月4日(月)16:00-18:00 レクチャー: 80分 対話: 30〜40分
案内・申し込み:
https://shinringyo-wo-kagaku.peatix.com/view
一斉に植えて、育てて、伐る、そしてまた、一斉に植えて、育てて、伐る。それをできるだけ短いサイクルで繰り返す。
数百年前から現代に至るまで、日本を含む世界の森林経営のメジャーは、このような畑作的な「林業」です。
近年の日本では、「低コスト化」「国産材自給率の増加」「花粉症対策」「森の若返りでCO2吸収力アップ」という掛け声のもと、それがより一層、政策的に推進されています。
しかしこの短伐期皆伐施業は、生態学、土壌学、水文学などの科学的見地から、深刻な問題ををいくつも含んでいます。
CO2サイクルの観点からも実は、最適ではありません。
結果的に、森林経営的にもマイナス影響を与えます。
科学は年々、新たな知見を追加し、過去に積み上げられた理論や見解を補強、もしくは修正し、進化ています。
進化の度に、現在も依然として世界でメジャーである畑作的な「林施業」に対して鳴らされる科学の警鐘音は、より大きく、よりシャープになっています。
現在の科学のメジャーは、実践の世界ではまだマイナーである近自然的な「森林業」を支持しています。
科学は万能ではないし、まだわかっていないことも多いですが、人間社会は少なくとも、わかっていること、精錬された知見を誠実に受け止め、過去と現状に批判な目を向け、将来の舵取りの修正を真剣に考えるべきです。
森林における「水」と「土」と「炭素」に関する最新の科学的データと見解を、中央ヨーロッパのものを中心に紹介し、それらを基に、森林マネージメントの具体的な舵取りの方法を考察します。
・土壌の豊かさと「保水」
・森を「保湿」する立ち枯れ木や倒木、落ち葉
・樹木による炭素「吸収」と土壌による炭素「貯留」
・皆伐は、保水力低下や土壌侵食を引き起こすだけじゃない! 皆伐跡地の日照りと土壌のオーバーヒート、土壌からの炭素排出
・舵取り修正案1: 非皆伐長伐期の恒続森へ
・舵取り修正案2: 必要最低限の「道」と「水のマネージメント」
・舵取り修正案3: 風害、虫の害があっても、全部片付けない! —松枯れやナラ枯れでも?