IronMaiden来日公演から推し活を考える
アイアン・メイデン(Iron Maiden)の来日公演が大きな話題を呼んでいます。彼らの熱狂的なパフォーマンスと独特の世界観は、「推し活」という現代的なファン文化を考える上で、非常に興味深い視点を提供してくれます。今回の来日公演から、ファンを魅了してやまないバンドの魅力に迫ってみようと思います。
エディという強烈なキャラクター
前回のブログにも書きましたが、今回のライブに参戦して三いてアイアン・メイデンのファン層の幅広さに驚きました。おじいちゃん、おとうさん、孫と3世代で来ていたファンも数多くいたようです。おじいちゃん、おとうさんはリアル世代かもしれませんが、孫世代が多かったのはやはりYouTubeなどの映像の影響が大きいと予想されます。あとはエディですね。強烈なキャラクターの存在はやはり大きい!!当時、メンバーがどれだけの戦略を持っていたかはわかりませんが、エディの人気はほんとにすさまじい。
エディは単なるキャラクターを超え、バンドのアイデンティティそのものとなっています。これは、アーティストとファンを繋ぐ重要な要素であり、現代のVTuberなどのバーチャルキャラクターによる推し活とも通じるものがあります。グッズ売上にも大いに貢献してると思います。
圧倒的なライブパフォーマンス
次に、彼らのライブパフォーマンスの質の高さが挙げられます。派手な舞台装置、エネルギッシュなパフォーマンス、そして高度な演奏技術。これらの要素が組み合わさり、単なる音楽鑑賞を超えた、まさに「体験」としてのライブを作り上げています。この「体験」の共有こそが、現代の推し活の核心部分と言えるでしょう。
先日のライブでもバックドロップのエディが登場するたびに大歓声が上がっていたし、曲ごとに変わるメンバーのフォーメーションもかっこいい。
サッカーではなく、バンドでフォーメーションという言葉が出てきたのは私にとっては衝撃でした。
ステージでの拘りの強さこそが、ファンを魅了する大きな理由です。先日のライブでも”fear of the dark"の演出は素晴らしかった。暗闇の中で、歩きながら歌うブルース・ディッキンソンの姿にグッときました。
高い音楽性
私がIronMaidenを好きになった理由は、その音楽性の高さが挙げられます。特に楽曲構成です。疾走感のあるパンキッシュな曲から、長編映画を見ているかのようなドラマティックな楽曲。それを支える抜群の演奏力。とくにスティーブハリスのベースラインは印象的で、あの3連アタックのベース音を聴くだけで、メイデンだー!とガッツポーズしたくなります。
あとは何と言ってもブルースのボーカルですね。パワフルなハイトーンはもちろんウイスパーボイスや低音もしっかり表現できるボーカルはなかなかいません。初期のポールディアノの破壊力、90年代後半に加入したブレイズベイリーのミドルレンジの安定感、そのどちらの良いところも持っているのがブルースだと思います。
抜群に安定したリズム隊、現在は3名の分厚い構成になっていますが、ツインリードのハーモニー、クラシカルな旋律も魅力です。キャッチーな旋律が多く、思わず合唱したくなるんです。そりゃライブも盛り上がりますよね。
ストーリーへの共感
アイアン・メイデンの魅力の一つに、彼らの楽曲に込められたストーリー性があります。歴史的な出来事や文学作品、神話などを題材にした楽曲は、単なる音楽以上の深い意味を持ち、ファンの心に強く訴えかけます。例えば、「Aces High」は第二次世界大戦中の空中戦を描いており、「The Trooper」は19世紀のクリミア戦争を題材にしています。これらの曲を通じて、ファンは歴史を追体験し、登場人物の感情や葛藤に共感することができます。また、「Seventh Son of a Seventh Son」のようなコンセプトアルバムでは、一つの大きな物語が複数の曲を通じて展開されます。これにより、ファンは音楽を聴くだけでなく、物語の世界に没頭し、その世界観を共有する喜びを味わうことができます。このような深いストーリー性と共感性は、ファンの「推し活」をより深く、より意味のあるものにしています。単に音楽を楽しむだけでなく、バンドが伝えようとするメッセージや世界観に共感し、それを自分の人生や価値観に重ね合わせることができるのです。これこそが、アイアン・メイデンのファンが長年にわたって熱狂し続ける理由の一つと言えるでしょう。
最後に
アイアン・メイデンのファンコミュニティの強さも注目に値します。SNSやファンサイトを通じて、世界中のファンが交流し、情報を共有しています。これは、推し活がただ単に「推す」だけでなく、コミュニティの一員となることで得られる帰属意識や連帯感の重要性を示しています。アイアン・メイデンの来日公演は、単なるコンサートイベント以上の意味を持っています。それは、長年ファンだった人たち、最近ファンになった人たち、関係なくごっちゃにしても寛容なファンコミュニティを肌で感じ、現代の推し活の本質を考える絶好の機会となりました。音楽の力、パフォーマンスの魅力、そしてコミュニティの重要性。これらの要素が融合した時、真の「推し活」が生まれるのではないでしょうか。
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