![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/172600514/rectangle_large_type_2_56e9f46be6ab31778ee15ed780d605be.jpeg?width=1200)
青ブラ文学部お題「ぼくはくま」
この作品は山根あきらさんの青ブラ文学部のお題小説です
山根さんよろしくおねがいします
僕はいまから15年前に
智樹さんのお嫁さんから
智樹さんお母さんに手渡された
ウエディング・ベアー
あの日、お母さんは笑っていたけど少し寂しそうだった。
2人がハネムーンに発つのを見送ってから
僕を子供の様にに抱きしめ
帰りの列車でうとうと眠っていた
その次の日から僕は仏壇の部屋の
茶色い箪笥の上にちょこんと座らされている
普段お母さんは
猫のことばかり考えていて
ぼくには目もくれないが、
年に2度ほど僕のところにやってくる
今日も
「今度、新しい社宅を見に行こうかな?」
とお母さんが酔った勢いで言うと、
「まだ全然片付いてなくて」と、
お嫁さんにやんわり断られ
それでもみんなの前ではそうよね~と笑う。
夜みんなが寝静まった頃やってきて
ぼくを赤子を抱くように抱き
「結構重たかったんだね~」とか
「あんなに可愛かったのにね~」とか
「一生懸命育てたんだよー」とか
「お金いっぱいっい使ったのにな~」とか言って
涙ぐみます。
たまには嗚咽します。
しばらく泣くと気を取り戻し僕をもとの位置に戻し
顔を洗い、クリームを塗り
そして、そっと布団にはいります
ぼくはくまだけど
お母さんの寂しさがちょっとわかります。
#ショートショート
#ぼくはくま
#青ブラ文学部
#山根あきらさん
#小説が好き
いいなと思ったら応援しよう!
![のり](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/167459346/profile_2a36afcb3eaf9be0691719a41359574c.jpg?width=600&crop=1:1,smart)