説明が短いことはいけないことなのか?
皆さん、こんにちは。
最近はテレビをつけてもコロナの話題ばかりですので、あまり見ていなかったのですが、最近のニュースで菅首相が「答弁が短い」ということで叩かれておりました。
「どーゆうこっちゃ?」
というのが私の最初の感想です。詳しく話を見ていくと「与えられた答弁時間よりだいぶ短く回答している」≒「誠意をもって国民に答えていない」≒「国民に説明責任を果たしていない」というロジックのようです。
そもそも説明というのは、相手に理解してもらうために行う手段です。要は「理解してもらう事がまず第一」で、そのために「手段」とて説明が長くなってしまうことはあるかもしれません。ただ、長く説明することが「目的」ではないはずです。
例えば、少し極点な例ですが、次の2つの説明を選べるとしたら皆さんはどちらを希望しますか?
①説明は長く丁寧であるが、意味不明
②説明は短く簡潔であるが、十分理解
たぶん、ほとんどの方は「②説明は短く簡潔であるが、十分理解」を選ぶと思います。まあ、そーですよね(笑)。理解することが本来の目的ですし。
今回の菅首相の答弁でもし問題となるのであれば、「説明内容が十分理解出来たかかどうか」であり、答弁時間の長短ではありません。もちろん、「短くて意味不明」は最悪ですよ。
私がいた外資コンサル業界ではこの手のスキルは徹底的に仕込まれました。聞いたことが多いかもしれませんが、代表的な話で「エレベーターチャット(トーク)」というモノがあります。
同じエレベーターに乗り合わせた際に話せる程度の、ごく短い時間の中で、自分の言いたいことを相手にわかりやすく簡潔に伝える会話術のことをいいます。もともとは、起業家が集まるアメリカ・シリコンバレー発祥のビジネス文化。限られた時間内で自分の提案やアイデアを印象付け、相手を説得するショートプレゼンテーションのためのコミュニケーションスキルです。
コンサルタントも忙しい経営者を捕まえて、簡潔に課題の本質や対応策を説明する必要があります。実際はエレベーターだと他の人もいたりしてなかなか難しいのですが、私も会議室から会議室に行くまでの間など、歩きながら説明したことは多々あります。
これが出来ないと別途時間を取ってもらう事になり、その分意思決定のスピードも遅くなりますし、相手の期待値もあがってきますので、こちらもそれなりの準備(工数)が必要になってしまいます。
日本人はこのスキルはあまり得意ではないのですが、これらが不得意な理由の一つに、日本語が短時間で説明するのには難しい言語であるということも理由です。基本的には日本語は修飾語が先に来る言語なので、必然的に「前置きが長くなる」傾向があります。
英語は質問&回答が明確で「Do/Can」の質問であれば、「Yes/No」で回答しますし、「5W1H」の質問もある回答フォーマットはある程度決まっていますよね。少し理由を補足する際には「Yes, but....」とかで補いますが、最初に自分のスタンスを明確にすることを求められます。その分Nativeの方はわけのわからない例え話をするので、それに困惑することもありますが(笑)。
このように外資系コンサル業界では質問を明確に聞き分け分解し、それに対して明確に回答することを徹底的にトレーニングされます。これはコンサルだけではなく、能力が高いビジネスマン全般に当てはまることかもしれません。彼らの特徴としては流暢に説明することが上手のではなく、しっかり「質問を聞き取ることが上手」な方が多いように思われます。それが聞き手が聞きたい質問に答えることにつながるかと。
また、日本人の場合だと「行間を読み取る」ように、質問の裏側に隠されたものを見極めることも大変重要になってきます。この辺が外国人、特に欧米人には日本人の理解が難しい理由なのでしょうね。
日本は考え方や文化など後世に残しておきたいことも多い国なのですが、一方で経済を停滞させている理由も明確になってきていると思います。
今回のコロナ危機を前向きにとらえ、これを機会に「デジタル化」「テクノロジーの導入」と同じように「手段が目的化」している考え方も変えていくことで、労働の効率化も進んでいくのではないかと考えています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?