札幌・北海道スタートアップ地図2022、注目の企業は!?
はじめに
株式会社POLAR SHORTCUT(ポーラー・ショートカット)の大久保です。普段は札幌で、スタートアップ投資(シードVC)を行っています。
札幌・北海道のスタートアップの現況を知るため、福岡のような「スタートアップ地図」がほしい…. そんな声が多かったため、『札幌・北海道スタートアップ地図2022年版』をついに作成しました!
今回のnoteでは、作成したスタートアップ地図の内容を踏まえながら、現況の分析と、注目スタートアップのご紹介をしていきたいと思います!
地図作成にあたっての「スタートアップ」の定義
今回のスタートアップ地図作成にあたり、「どのような基準で、スタートアップ企業をピックアップすべきか?」という点は結構悩みました。
ですが、『スタートアップ地図』と名乗るからには、基準そのものも「スタートアップである」ことにこだわるべきだろうと考え、定義を決めました。
【地図に掲載する"スタートアップ企業"の定義】
・直近5年間で(2017年以降に)エクイティでの資金調達実績がある
・EXIT(上場や売却)していない
・北海道に本社がある
※あくまでもWeb上のデータベースやプレスリリースなど公開情報から確認できる範囲でピックアップをしているため、もし追記・修正等のご要望がある場合はご連絡ください。
地図から読み解く!札幌・北海道のスタートアップ
まず、そもそも「札幌にスタートアップっていくつあるの?」というよくある質問に対する答えが明確になりました。正解は27社!
想像よりも多かったでしょうか?少なかったでしょうか?私は思っていたより多いな、という印象でした。
エリアごとの分布を見てみると、最多は「北大エリア」と「Sapporo Incubation Hub DRIVEを含む大通エリア」がそれぞれ6社で同数。次点は「EZOHUBを含む創生東エリア」の5社。札幌では、北大・大通・創生東の3エリアに比較的スタートアップが固まっていると言えそうです。
思ったよりも札幌駅周辺にはスタートアップが少ないことや、バイオ・メディカル系のスタートアップの多くが北大エリアに集中していることなどがわかります。
そして、「北海道全体で、札幌以外にスタートアップっていくつあるの?」というこれまたよくある質問。正解は12社!
こちらは想像よりも少なかったです。札幌以外ではそのうち6社が十勝エリアのスタートアップ。ロケット開発のインターステラテクノロジズや酪農IOTのファームノートなど有名企業が名を連ねます。十勝すごい。
ちなみに、福岡のスタートアップ地図2022年版を確認すると、スタートアップは82社。多少の定義の違いはあるかもしれませんが、福岡には札幌と比べて約3倍、北海道全体と比較しても2倍ほどのスタートアップがあることがわかります。
累計10億円以上調達済みの有名スタートアップ5選!
せっかくなので、ここからは札幌・北海道のスタートアップを紹介していきます。まずは累計10億円以上を資金調達している、全国的に見ても有力であると言えるレベルのスタートアップです。ではどうぞ!
エントリーNo.1:AWL株式会社(札幌市)
まずは、AIカメラソリューションを提供するAWLです。2021年6月にシリーズBで総額20億円を調達している、北海道大学発AIベンチャー。現在はEZOHUB Sapporoに札幌本社をおいており、1階のサツドラ北8条店でソリューションの実証実験も行っています。エンジニアの多くが外国籍のエンジニアであるというのも特徴ですね!
エントリーNo.2:株式会社岩谷技研(札幌市)
続いては、なんと気球で宇宙に行けるサービスを研究開発している岩谷技研さん!2022年6月に4億円の資金調達を実施しています(ラウンドは不明)。先日のB Dash Campの札幌市ピッチでも優勝しており、岩谷社長の宇宙・事業への愛にファンになってしまう人も多いとか… 私個人としても、とても気になっているスタートアップです!
エントリーNo.3:株式会社バーチャルキャスト(札幌市)
次にご紹介するのは、VRライブ・コミュニケーションサービスのバーチャルキャスト!バーチャルキャストは、北海道を代表する起業家である松井 健太郎社長率いるベンチャー企業「インフィニットループ」の関連会社です。札幌ファクトリー内に本社があります。
2019年の10月にドワンゴの川上量生氏を引受先として10億円の資金調達を実行。Web3やメタバースといった最近のトレンドのなかでどこまで事業を伸ばせるか、注目のスタートアップです。
エントリーNo.4:インターステラテクノロジズ株式会社(大樹町)
ここからは札幌以外のスタートアップです。まずは堀江貴文さんが出資していることでも有名な、ロケット開発のインターステラテクノロジズ!十勝の大樹町に本拠地をおいており、直近では2022年4月にシリーズDで18.7億円を調達しています。宇宙産業に適した土地とも言われる北海道。ロケット開発のスタートアップがあることで、それ以外の宇宙開発の企業が集積していく可能性にも注目されています。
エントリーNo.5:株式会社ファームノート(帯広市)
最後は、酪農IOTの事業を手掛けるファームノート!展開するサービスは「クラウド牛群管理システム」や「牛向けウェアラブルデバイス」など。
デジタルを活用して、一次産業のDX化を図る、まさに北海道ならではのスタートアップの代表例です。直近では、2021年9月に総額14.4億円の資金調達を実施しています。
独断と偏見で選ぶ、注目のシードスタートアップ5選!
ここまでの5社のスタートアップは、メディアなどで目にする機会も多く、ご存知の方も多かったのではないでしょうか。続いては、まだ一般認知度は高くないものの、シードVCの目線から見て、今後大きく飛躍しそうな注目スタートアップ5社をご紹介します!
エントリーNo.1:株式会社あるやうむ(札幌市)
まずは、全国的にも注目されているWeb3領域のスタートアップ「あるやうむ」です!「NFT×ふるさと納税」という自治体向けの新しいソリューションを展開しており、2021年12月にはSkyland Ventures等から総額2,100万円の資金調達を実施しています。代表の2929おじさん(注:twitterアカウント名です)は東京出身ながら札幌愛が非常に強く、札幌をWeb3のメッカにすべく、Web3 City Sapporo構想をぶち上げていたりします。応援!!
エントリーNo.2:エゾウィン株式会社(標津町)
続いては、道東・標津町にあるスタートアップのエゾウィン!資金調達状況は非公開ですが、「レポサク」という圃場と車両の農作業管理システムを提供する、農業DX領域のスタートアップです。
つい先日、Twitterの「エゾ旅面談」のツイートがバズっていましたね。北海道・知床エリアから農業の未来を変えていこうとしている、当社認定では『日本最北端かつ最東端』に位置する最果てのスタートアップ。今後の事業展開に注目です!
エントリーNo.3:株式会社FLINTZ(札幌市)
3つ目に紹介するのは、ビルメンテナンスのSaaSサービス「スマビル」を提供する株式会社FLINTZ。こちらも資金調達状況は非公開。
代表の高森さんは、小樽商大ビジネススクールの卒業生であり、さらにG's Academy Unit Sapporoの一期生でもある、札幌の起業家コミュニティのど真ん中にいる人物。コミュニティの中から一気に突き抜ける起業家が一人生まれることで、まわりの空気も激変するので、ぜひこのまま波に乗って成功してほしい起業家の一人です!
エントリーNo.4:株式会社RAINBOW(札幌市)
次にご紹介するのは、北海道大学発バイオスタートアップのRAINBOW。脳や脊髄の病気を幹細胞を⽤いた再⽣医療で治す研究開発を行っており、2020年の10月にツルハやD2Garageなど複数の引受先から総額1.5億円の資金調達を実施しています。私が直接お話したことがあるのは、研究開発担当取締役の川堀先生(北海道大学医学研究院 脳神経外科 助教)だけですが、北大の研究領域を事業化した好事例で、将来的に非常に大きな成果が生まれそうな気配をものすごく感じました...!
エントリーNo.5:Letara株式会社(札幌市)
最後は、同じく北海道大学発、宇宙スタートアップのLetaraです!
北大の永田教授のアドバイザリーの下、大学院生のランドンさんと平井さんが創業した研究開発型のスタートアップで、ハイブリッド推進技術を活用して、小型宇宙機向けのラストマイル輸送の領域に取り組んでいます。こちらも資金調達状況は非公開。
The MIT Innovators Under 35 Japanにも選出されるなど、上述の岩谷技研やインターステラテクノロジズに続く、注目の宇宙スタートアップです!
おまけ:当社ファンドの出資先の2社も!
より多くの企業を皆さんに知って頂きたいという理由から、今回の注目のシードスタートアップ5選は敢えて、当社の投資先以外から選出しました。
ですが、当社投資先の2社も当然ポテンシャルでは負けておりません!最後に追加でご紹介させていただきます。
PSファンド投資先①:株式会社TREASURE IN STOMACH(札幌市)
北海道発、ヴィーガン・グルテンフリースイーツ専門店である、お菓子づくりのスタートアップ「TREASURE IN STOMACH」。
当社ファンドからの出資後は、製造キャパシティや内部のオペレーションの強化を着々と進め、三越札幌店やマルイ国分寺店など大手百貨店での催事出店も増えてきました。お菓子屋の繁忙期である今年の秋頃から来年にかけてまたいろいろなニュースを準備中です!
PSファンド投資先②:株式会社Fant(上士幌町)
元デザイナーの女性ハンター起業家が手掛ける、ジビエ産業の流通DXを企むスタートアップ「Fant」!
当社ファンド出資後は、飲食店とハンターを繋ぐアプリケーション開発や、それ以外の新規事業のトライアルを進めています。メイン事業であるハンターが獲ってきたジビエ肉の飲食店への販売は順調に進み始め、すすきののジンギスカンの名店「山小屋」や、帯広にある「北の屋台(煙陣さん)」でも鹿肉を取り扱っていただいています!
さいごに
今回は、今まで切望されていた「札幌・北海道スタートアップ地図」の作成をついに手掛けました!頑張りました。
この記事を読んで、札幌・北海道にこんなスタートアップがあるんだ!と感じていただけた方も多かったのではないでしょうか。
来年、2023年版の地図を作るときに、スタートアップの数がさらに増えている状態になるといいな。そのために当社でもスタートアップ支援をどんどん進めていきます。現在、地方における「新しい起業の形」を仕込み中ですので、そちらも乞うご期待。そのうちnote書きます。
本記事を読んで興味を持っていただけた方、起業したい方や、起業かはわからないけど業界のこういうところに課題感を感じている…という方がいれば、ぜひご連絡ください!それがスタートアップ創業のきっかけになるかもしれません.....!
Mail:info@polarshortcut.jp
Twitter:@OkbNori
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