海苔は国産国消!韓国産は「あり」?トップアイドル乃木坂46も語る!国産消費が重要な理由
先日佐賀県に行ってきました。唐津の寿司屋では、佐賀の米と佐賀近海(玄界灘)のネタ(アジ、イカ)で作ったお寿司を佐賀の醤油(宮島醤油)で食べることができました。「あがり」は当然、佐賀のお茶でした。多少高いかもしれないが品質の良いものであれば、地元・国内で取れたものを優先して買う・使うというマインドがなければ、その現場で働く人の働く場所だけでなく、和食という食文化や日本という風景そのものが失われる結果になります。
特に、食事の基本は他の生物(植物、動物)の命をいただくという行為です。保存技術や輸送技術がない時代には、食材は地場で採れたものをありがたくいただくことしかできませんでした。同じ地域・国で生活する人の営みや人類の過去の営みを無視して、儲かるから・安いからという理由だけで、国外産の製品に切り替えてもいいのでしょうか。
昭和の時代は大量生産・大量消費でも良かった
昭和の時代は大量生産・大量消費で、値段が安いことが価値・美徳でした。平成から令和の時代に進み、多様性や持続可能性を重視する社会へと変化しています。特に令和に入り、環境問題やサステナビリティ(持続可能性)が社会の重要な課題となる中で、エシカル消費(倫理的な消費)や地産地消といった考え方が広がり、消費者はモノの「環境への影響」や「生産背景」にも目を向けるようになりました。人に対する多様性だけでなく、生物多様性が注目されるようになり、循環型社会という考えも登場しています。
企業も大量生産から「カスタマイズされた少量生産」や「サステナブルな製品開発」へとシフトしつつあります。消費者にとって、単に安価であることよりも、「長く使える」「環境に配慮された商品」であることがモノの価値として評価されるようになっています。
日本の漁業・農業・林業の持続可能性とは?
そんな中で、日本の第一次産業(漁業、農業、林業)について考えてみましょう。
江戸時代から昭和30年代(1965年頃まで)まで、日本の主力産業は第一次産業・自営業でした。その後、団塊の世代が生産年齢となり、高度成長を迎えるにあたって、第二次産業(製造業)・第三次産業(サービス業)・サラリーマンとしての働き方が主流になりました。
その後60年が経過して、生産年齢人口の主流は2世代経過した孫の世代になりました。農業・漁業・林業は日本の主力産業ではなくなり、後継者難に悩んでいます。放棄された耕地や手入れが行き届かなくなった森林などで、自然環境が損なわれています。そんな中で、豊かな自然を守るために後継者となる人たちに、農業・漁業・林業が魅力ある職業であることを伝えて、自信を持って継いでもらうことが持続可能性の一つでしょう。
海苔の養殖産業に見られる変化
日本が高齢化・人口減少に進むにつれて、マーケットは縮小することが宿命です。別の理由で、海苔が不漁になり、国内消費も落ちてきています。海苔の養殖は利益が出ないから、という理由で海苔から牡蠣の養殖に転業する漁師が出てきています。
そうなると、ますます後継者難ということで、日本の国産の海苔が取れず、品質の良い海苔が高騰する、その結果、消費量がますます減るという悪循環に陥ります。海苔の小売業者の中にも、安くて品質の高い韓国海苔があるからと、国外産を売っていこうという動きも出てきていますが、果たしてこれでいいのでしょうか。
国内の生産者を守るためにも、環境負荷を考えても、地産地消・国産国消を原則とするべきではないでしょうか。
JAも地産地消キャンペーン
JAグループでは「国産国消」というキャンペーンを5年以上前から行っています。キャンペーンにはアイドルグループ乃木坂46を登用しています。20歳そこそこのアイドルたちも、年季が入ったもので、自分たちの言葉で地産地消の重要性を若者に説いてくれています。
「おとな」と言われる人の中に、安ければいい・儲かればいいという安直な考えの方がいるのは事実です。しかし、JAグループの地道な取り組みを無視することなく、地元の生産者を守る活動を消費者だけでなく、中間に入る小売業者が積極的に行っていくことが望ましいでしょう。