当たり前の話。ビジネスにおける「お金」の大事さ。
こんにちは、Noriです。
スモールビジネスは、「多額の資金を必要とせずにスタートできる」というメリットがあります。
しかしながら、スモールビジネスと言っても、資金がなくなれば活動の範囲は狭くなってしまいます。
反対に資金が多いと活動できる範囲も格段に増えていき、ビジネスが急激に成長していきます。
だからこそ、『キャッシュフロー管理』が大事になってきます。
今回は『キャッシュフロー管理』について紹介していきます。
第1章:キャッシュフローの重要性
・スモールビジネスと製造業の比較
スモールビジネスのおいては、いかに早く「キャッシュ(お金)」を獲得できるかが最優先となります。
たとえば、製造業の場合は、「①工場へ投資」→「②仕入」→「③製造」→「④販売」というステップを踏むため、投資でお金が出て行ってから、販売でお金が回収できるまでに時間がかかってしまいます。
一方でスモールビジネスの場合は、「お金をなるべくかけず、小さいスケールですぐにサービスや製品を販売する」ことになります。
たとえば、知人は「ヨガインスタクター」をやっていますが、インストラクター資格を取得してから、すぐにオンラインレッスンを開始してお金を得ることができています。
彼女はインスタクター資格を取得するために数か月の時間やお金は要していましたが、一旦、インスタクターとして活動を開始したらお金がどんどん入ってくるようになりました。
お金が入るまでの流れとしては「①ヨガインストラクターの資格取得」→「②インストラクター活動開始」→「③口コミで生徒を集客」→「④レッスン予約で集金」→「⑤レッスン」(あとは③~⑤の繰り返し)
この場合は、レッスン予約時に集金することでさらに早くお金を獲得することに成功しています。
一方で製造業は「仕入→製造→販売→入金」というプロセスの中で、「入金」を早めたり、どれかの工程を省くといったことはできないため、お金を得るための労力・時間が全然違ってきてしまいます。
そのため、スモールビジネスの場合は早めにキャッシュを獲得し、できる限り支出を減らすことで、さらなるキャッシュ獲得してスケールを大きくしていくことがセオリーとなります。
・スモールビジネスの落とし穴
スモールビジネスは、上記のヨガを例に挙げるとサービスの対価としてお金がすぐに獲得できるため、事業としては非常に効率的です。
いわゆる対価として入ってくるお金は「収益(売上高)」ですが、製造業のように「人件費や水道光熱費」など大きなコストもありません。
ヨガのサービスを提供する際には、「お金」は早く入るというだけでなく、運営のためのコストも格段に少ないということが大きなメリットです。
特にオンラインレッスンが浸透した現状では、スタジオ料なども必要なく、全国のヨガに興味がある方が見込み客となります。
ここまで説明していると、スモールビジネスはメリットだけのように思えますが、そうではありません。
ヨガレッスンの場合、製造業のように「目に見えるもの(製品)」ではない上に、差別化がしにくく、競合も世の中にあふれています。
特にヨガインストラクターの場合は、ほとんどパーソナルな部分が差別化要因となり、サービス内容よりも優先される場合が多いです。
そのため、スモールビジネスの場合は、提供しているサービスや商品などの開発や研究にお金をかけるよりも、まずは見込み客からの認知を獲得することにお金をかけていくことが望ましいです。
ここで1つ例を挙げます。
知人で動画編集の仕事をしていた人がいますが、趣味の延長で動画を編集し、まわりの人の依頼に応じて報酬を得ていました。
一時は、本業に近い収入を得るほど成長していましたが、しばらくすると収入はどんどん少なくなってきました。
その要因は「競合の出現」と「顧客との関係性」です。
ちょうど同じ時期に「動画編集者養成講座」が流行ったことで、オンライン上で安く仕事を請け負う人が急増したことが1つの要因でした。
また彼自身は「自分の編集技術」が支持されていると考えたため、編集技術を向上させることに注力し、新規開拓や既存顧客へのフォローが少なくなってしまいました。
このダブルパンチによって、ビジネスは衰退してしまったのです。
このようにスモールビジネスは規模が小さい分、市場や顧客、そして競合と自分自身を正しく分析して、少ないお金をしかるべきところへ注力できなければ、成長が難しいという面があります。
一方で製造業は、顧客に支持される製品が作れている状況であれば、一定の優位性を確保できているため、既存顧客への深堀や、新規開拓をしていくことで地道に事業を拡大していくことができます。
スピードは遅いけれども、ビジネス基盤がしっかりしている場合は、すぐに衰退するという危険性は相対的に低いです。
また製造業であれば、作業手順の見直しやリードタイム短縮、外注の相見積徹底などコスト低減の余地も大きいため、利益を出すための活動もできます。
このように小回りが利きにくい製造業だからこそのメリットもありますが、上記で説明したようにスモールビジネスならではのメリットもあります。
スモールビジネスではビジネス基盤が比較的脆弱な分、事業が好調で順調にお金が入っている場合でも、油断せずどうやったら維持・拡大できるかを常に考えて、行動する必要があります。
第2章:スモールビジネスにおけるキャッシュフローの課題と解決策
・まずは自分でキャッシュを生み出す仕組みを作ってみる
スモールビジネスとして、飲食店を経営したとします。
その場合は「①仕入」→「②調理」→「③提供」の流れになります。
サービス業とは違い、「仕入」の工程が入っていることがわかります。
そのため、先に「仕入」が発生するために「仕入に使うお金」をねん出することが必要となります。
たくさんのお金はなかなか用意することができないため、少ないお金で少しずつ仕入をしながら、店舗運営をしていくことが大事になります。
たとえば世の中で〇〇が流行っているからといって、〇〇専門の大型店を作ったとしても、お店への投資だけでなく、想定客数に応じた大量の仕入をしなければなりません。
偶然、大当たりすれば投資資金も回収でき、事業で稼いだお金がプラスになることもありますが、きちんと売上予測を立てていない場合は、失敗することが多いです。
繰り返しになりますが、少ない資金で低リスクの仕入を行い、お客様の支持を少しづつ増やしていき、入ってくるお金を増やすことが先決です。
それができてくると仕入業者の方からも信頼されるようになり、「現金取引」から 「掛取引(あとからまとめて支払形式のこと)」ができるようになります。
するとお客様からお金を頂いた後に仕入代金を支払うことができるようになるため、「店舗運営に必要なお金(運転資金)」が少なくなります。
そうすれば、資金のことを考える時間が減り、よりお客様へ集中できるようになるため、よりたくさんの「お金」を獲得できる可能性が出てきます。
・資金調達のための手段とそのメリット・デメリット
よりたくさんの「お金」が獲得できるようになると、生き残りのためのお金の使い方から「成長」のためのお金の使い方へ変化していきます。
たとえば、さらなる成長を目指して「多店舗展開」を目指したとしましょう。
大型投資を行うには、手元資金だけでは不足するため、何らかの形でお金を確保しなければなりません。
まとまったお金の獲得方法のなかで、最もよく利用されるのが「銀行」から借り入れです。
銀行からの借り入れができるようになるには「信用」が必要です。
信用が不足している場合は「担保(返済できなかったときにお金の代わりに提供するもの)」として預金や土地を銀行へ差し入れることになります。
ただし、スモールビジネスの場合は十分な信用が得られていないことが多いため、『日本政策金融公庫』を利用するとよいでしょう。
政府系の金融機関で実績がないビジネスオーナーへの融資に対して積極的であるため、まとまったお金が必要な場合はぜひ検討してみましょう。
無担保・無保証であると利息は3%前後になりますが、担保ありの場合は1%~となります。
融資の相談をする際には、会社の資金残高や事業の見通しをしっかりと計画した中で判断することが大事です。(見通しの立て方は次の記事で書きます。)
また、今ではお金を集める手段も増えているため、『クラウドファンディング』という選択肢も考えてみてもよいでしょう。
『CAMPFIRE』では人気メニューを自宅に届けるプロジェクトや直接的な店舗サポートを募るプロジェクトなどもあります。
プロジェクトの種類にもよりますが、金融機関からの借入金と異なり「返済を行う/利息を支払う」必要はありません。
しかしながら、支援者に対して魅力的なリターンを用意できないとお金を集めることはできません。
既存店舗にファンが多い場合や事業における独自のパーパス(何のために事業をやっているのか)がある場合は、挑戦してみるとよいでしょう。
ここまでの内容をまとめると金融機関からの融資においては納得感のある「事業計画書」や「保証人」、「担保」、「返済/支払利息」などの負担がありますが、まとまったお金を借りることができるというメリットがあります。
反対にクラウドファンディングは、「事業計画書」や「返済」などが必要ないメリットもありますが、プロジェクトに共感してもらうために明確なパーパスや支援したくなる「リターン」が充実している必要があります。
そういった準備をしっかり行ったとしても、金融機関からの融資以上の金額を集めるのは困難な場合が多いのが現実です。
「現時点で会社に必要な金額」、そして「いつまでに必要であるか」を前提にして、「さまざまなコストと比較した場合に最もバランスが取れた資金獲得の方法」を検討していくことが大事です。
・キャッシュフローの改善方法
キャッシュフロー(会社におけるお金の流れ)を改善するためには大きく3つあります。
1つ目が「売り上げ代金をすぐに頂くこと」です。
個人でやっている飲食店によっては未だに「現金のみ」というところも多いですが、早めにお金を徴収することで会社運営が楽になるメリットがあります。
その分、お客様の決済における利便性は下がりますが、魅力的な商品やサービスを開発/提供することで、差別化を図っています。
反対に法人との取引の場合は「掛取引」になる場合があるので、請求書の管理を徹底し、回収が遅れている取引先にはきちんとフォローをかけることが大事になります。
場合によっては、早めの入金をお願いするなど、「入金されるまでの期間を早期化」を積極的にお願いすることも大事です。
2つ目ができるだけ在庫を持たないことです。
一番最初の「製造業」の例で挙げたように、製造業では「仕入(在庫)」が工程としては発生するため、売上による入金までに時間がかかります。
また製造業における仕入についてはあらかじめお金が必要であるため、サービス提供で終始するヨガレッスンなどに比べて、キャッシュフローの面では不利になります。
仮にヨガにおいてサービス提供だけでなく、ヨガマットを販売するビジネスを開始したとしましょう。
すると当然仕入れが発生し、キャッシュフロー面でのメリットが減ってしまします。
もし販売をメインのビジネスとしないのであれば、「アフィリエイト」によって、自分がおススメするヨガマットを紹介する形で紹介料のみ頂き、在庫不要でやっていくことが望ましいです。(お金が増えて、適正なリスクが取れるようになったときに、見込み客リストへの直販などが次のステップになります。)
3つ目が仕入れの際に、できるだけ現金支払をしないことです。
先の事例で説明したように「信用」ができてくると、まとめて月末の支払いが可能になるなど、都度の現金支払が不要になる場合があります。
繰り返しになりますが、月初の仕入支払いが翌月末に変わるだけで、会社運営に必要なお金は格段に少なくなります。
ある程度の期間において安定的な取引が続いているようであれば、交渉してみることが大事です。
第3章:一歩踏み込んだキャッシュフローの改善方法
・キャッシュフローの源泉となる利益自体をよくする
上記のようにビジネス自体はそのままに、入金や出金を調整することでキャッシュフローを改善する方法があることはすでにお伝えした通りです。
しかしながら、このやり方もすぐに限界がきてしまい、利益自体がよくならないと長期間に渡り、会社におけるキャッシュフローをよくすることはできません。
ヨガレッスンから始めたサービス業であれば、レッスン以外に「ヨガインストラクター養成講座」などの高単価サービスを開発して、利益率を高めることが必要になります。
また高単価のサービスは単なるレッスンサービスに比べて購入してもらえる確率は減ってしまいますので、何らかの対策が必要です。
たとえば、SNSを通じて見込み客を増やすことが1つの方法です。
確率が一定であっても、母数である見込み客が多ければ、結果的に購入者の数は増えますから、マーケティングに力を入れます。
それと同時に直接的なセールス活動も必要です。
検索サイトに表示される広告を作成し、誘導したホームページ上でセールスをかけることによって、直接的に高単価サービスを売り込むことも大事です。
ネット上で提供するサービスであっても、SNSマーケティングかネット広告によるセールスを重視するかは商品特性なども影響してきます。
最初は少ない予算で始めてみた中で、結果が出てきたものに注力していくことが失敗を最小限に抑えつつ、成果が出やすくなるセオリーとなります。
また製造業においては「商品別粗利表」を作成していくことが、利益を改善しながらキャッシュフローを改善する最も強力なやり方になります。
・粗利(売上総利益:商品力を表す利益)を最大限にする
「◯◯がうちの主力商品だ」という社員の共通認識があったとしても、「商品別粗利表」作成して分析してみると「たしかに最も売れている商品であるが、利益は出ていない」ということがわかってくることがあります。
一番簡単なやり方は「利益が出ていない商品は廃止していくこと」です。
もし廃止することができれば、そもそも販売して入ってくるお金も少ないですし、「仕入(による支払い)」は減りますので、キャッシュフローも改善する可能性が出てきます。
オーナー自身が、「主力商品がないと他の商品が売れません!」といっていたとしても、いざ廃止したところでそれ以外の商品はきちんと買ってもらうことができ、廃止影響は最低限に留まることがあります。
しかしながら、主力商品によって他の商品が売れている場合もあります。
それは必要以上に原価をかけているため、他社よりも単純にお買い得だから取引が続いているというだけです。
この状態では他の商品は魅力がなく売れない可能性が高いことがわかっているので、早急に手を打つ必要があります。
まずは主力以外の商品における再開発です。
どんな商品であれば支持されるかを顧客ニーズに基づいて、自社のノウハウが生かせる商品を開発します。
もし開発に必要なノウハウが不足しているのであれば、他社との協業や大学などの産学連携も視野に入れて検討していき、うまくいくための可能性を高めていきます。
商品自体で差別化できないのであれば、何らかお客様に喜ばれるようなサービスも付帯していく必要があります。
このような努力によって、初めて商品力が高いラインナップが完成し、真の意味でキャッシュフローをよくすることができます。
以上のように、キャッシュフローを意識した経営を行うと自然と「会社運営の仕組み改善」や「ビジネス自体の見直し(利益改善)」への問題意識が高まります。
ぜひ会社運営を考えている方や、実際に運営されている方は実践して見るとよいでしょう。
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