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奈良紀行 2023秋~② 東大寺さんぽ
入江泰吉旧居まえの通りをまっすぐ進み現れた階段をのぼると、そこは戒壇院戒壇堂。日本に戒律をつたえた唐の高僧鑑真に由来する建物です。
もちろんここも東大寺の一角ですが、そもそもどこからが東大寺の境内なのか?よくわかりません。塀で囲われているわけでも門があるわけでもないので、歩いているうちにいつの間にか東大寺に入っていた、という感じです。いつでも自由に歩ける敷居の低さも、東大寺の魅力のひとつです。
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土塀がいい感じですね
このエリアは、観光客もちらほらていど。歩き疲れたのか外国人の方々が座り込んでいました。2020年から3年にわたる保存修理と耐震工事を終え、ちょうどこの10月から拝観再開されたばかりで、人が多いかも?と予想していましたが、意外にもすいていました。よかった!
東大寺友の会会員証提示で受付をフリーパスし、四天王像が待つお堂へ。
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堂内は、壇上の四隅に四天王像が配置されており、まわりをぐるっと一周まわって近くから見られるようになっています。何周しても構いませんよ、とのことでした。
四体とも奈良時代の塑像で国宝。新薬師寺の十二神将像もそうでしたが、粘土でつくられた彫刻が1300年経ったいまも崩れずに、迫力ある姿で目の前にいるということが奇跡的だなぁと思うのです。
わたしのお気に入りは、おそらく一番目にする機会が多い広目天。静かなすごみと、武器ではなく筆を手にしているというところが好きです。そして入江泰吉が最初に撮影した仏像も、じつはこの広目天だったそう。
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さいごに御朱印をいただいて戒壇堂とおわかれ。さて、ここからはノープラン。右へいこうか?それとも左へいこうか?
ーよし、左へいこう!
千手堂の脇をとおり、古びた門をくぐって階段を下ります。両側を土塀に囲まれたゆるやかな石階段に竹と木のみどりが陰をつくる、こういう雰囲気がとてもすき。
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ここは東大寺境内の西端、大仏殿からみると左上。普段なかなかここまで来ることはありません。せっかくなので、さらにもう少し北側にある正倉院へ向かいます。(正倉院展に来られないかわりに、建物をみて満足しようというこころみ)
正倉院へむかう砂利道を歩きはじめると、左手におおきな銀杏の木があることに気付きました。これは・・・と思わず引き寄せられます。
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銀杏のむこうに見えるのは大仏池、池に近づいていくと水辺で鹿たちがのんびりとくつろいでいるのが見えました。記念撮影をしている外国の方もいて、わざわざここまで来る感性がすごいなぁと感心します。
この池は正倉院の防火用として改修された人工池(現在は宮内庁管理)ですが、とてもおだやかで良い気を感じました。人が少ないおかげかもしれません。周辺には銀杏のほかモミジもあったので、紅葉の季節にはいっそう美しい色に染まることでしょう。
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景色に満足してむかった正倉院は・・・お休みでした。そういえば今日は日曜日、宮内庁管理の施設は休館日でしたね。
さんぽに戻り、大仏殿北側の道をとおって二月堂へむかいます。雲行きあやしく、小雨がパラパラと降ってきました。
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信州ではもうすっかり稲刈りも脱穀もおわり新米が出回っていますが、奈良ではまだ黄金色が見られるのですね。この二月堂供田で収穫されたモチ米は、二月堂へお供えされる餅になるのだそうです。
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ここは二月堂へむかう裏参道。正面に二月堂を望みながらゆるやかな上り坂を歩く風情ある大好きな道です。とうぜん写真におさめたいのですが、なにしろ人が多い。いつの間にこんな人気スポットに?!
こうなったら午前中早い時間をねらうしかありません。明日の課題とします。
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二月堂へ来たのは昨年のお水取り以来、いつ見ても美しいお堂です。この建物は旧暦2月に行われる修二会を営むために建てられたので、二月堂。初代奈良時代の建物は、江戸時代修二会最中に焼失してしまったため現在は二代目ですが、国宝に指定されています。
二月堂もそのとなりの法華堂も、なかなかの人気ぶりだったので外から見るだけにして、さて、ここまで周ったらあとのお目当ては・・・奈良太郎さん!
奈良太郎さんとは?
東大寺梵鐘の愛称です。反りあがった屋根の鐘楼に吊り下げられた大きな梵鐘、どちらも国宝。平氏の南都焼き討ちも、戦中の金属供出をも逃れてくれたのですね。
毎夜8時に鳴らされるその音は、低くじんわりと身体に共鳴します。奈良時代の人が聞いていたのと同じ音を、現代のわたしたちも耳にすることができる・・・すごいことです。
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奈良太郎さんにも会えて満足。きょうはここまでにしておこうかな?と考えていたところ、それまでパラパラ程度だった雨がザザーッという本降りになったので、いさぎよく退散。
そして歩いたあとはお茶と和菓子をいただきたくなり、ならまちにある中川政七商店内にある茶論へ。日曜の午後、雨宿り目的ということもあってか混みあっていましたが、幸い空いていた一席へ通していただけました。
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温かいほうじ茶とかわいい生菓子を味わいつつまったりしていると、いつの間にか先客がみな退席し貸し切り状態に。感じの良い店員さんにも、ゆっくりしていってくださいね~と笑顔で言っていただいたので、きょう見たいろいろを思い出しながらこの素敵空間での時間を満喫しました。あぁ、落ちつく~。
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お庭もすてきです
エネルギー充てん完了。あとは宿へ向かうのみ。
今回のお宿は、奈良ホテルではなく初体験のホテル天平ならまち。猿沢池すぐ横という絶好のロケーションです。
ということで、一日のさいごはやっぱりこの光景が欠かせません。
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それでは、今日はここまで。
ー次回、〇〇さんと一緒に東大寺法要に参加!へつづく
<奈良紀行 2023秋 シリーズ>
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