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事前の取り決め

 何かが膠着して進まない場合、やきもきするのは人間の性。

しかし、膠着自体を織り込み済で「起こり得ること」として事前にお互いに認識を共有できていたり、もっと端的に言うと、膠着が起きる可能性を見越して、予め金銭的な取引を先に済ませておいたりすると、それだけで全然気が楽だったりする。こちらは戴くものはすでに戴いているし、返事を待つ状態もずいぶん健康的に過ごせる。決まらないのは良い意味で「相手側の問題」として割り切ることができるからだ。

 特に明確な締め切りのない作業においてこうしたことは起こりやすいし、ただただノリで手を動かしていくと、決まっていつまでも「これって終わるの?」と言う思いと「いつ払いが発生するの?」という徒労感や不安。そしてそれが酷くなると妄想が働き、自分でも止められない「相手側への悪意の押し付け」にもつながる。

ただ忙殺でなかなか返信ができないだけかも知れない、相手にも色々あるというバックボーンへの想像力がかき消されてしまうのだ。

 それらを完全に防ぐことは冒頭の人間の性上避けられないだろうが、お金、もしくはそれに取って変わる何かを貰っていることや、お互いが遅々前提を「認識」している…といった精神的担保を持っているだけで、心の風通しがずいぶん違ってくるし、待っている間は完全に忘れて他のことに集中もできる。

シビアというほどでもないけど、"膠着" を見越した事前交渉は、最初に済ませておくことが肝心。特に取引相手が会社などではなく、個人間取引になればなるほど。

今日はこんなところで。

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則宏史(noreason studio)
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