食料保存の法則
昨年の話だが、『青春あるでひど』というポッドキャストラジオ向けに、エンディング曲を作らせて戴いた。もう放送開始から15年近く続いている、歴史あるラジオだ。
ジャンルが「最先端科学お勉強型ラジオ」ということもあり、毎期ごとに「科学」にまつわる様々なテーマの楽曲が軒を連ねる。僕はその中で第8期となる「科学のうた」のオファーを光栄にも戴いた。
僕は自分で言うのもなんだが、この曲が非常にお気に入りだ。
牧歌電子名義としても初めて試みた「歌入り」案件である。思い出も多い。
MC を務める B・カシワギ氏とアニワギはかせ(カシワギ兄弟)との事前ミーティングを経て、その中で "冷蔵庫ができた今日に至るまでの食料の貯蔵技術など" に焦点を当てる事が決まる。喧々諤々、ラジオ同様軽妙な語り口で話す二人の会話をつぶさにノートPCにメモっていると、自分自身もこのジャンルに対してがぜん興味が湧いてきた。
発酵・燻製・土蔵・熱湯殺菌・アルコール保存・そしてゆくゆくは真空パックなど、文化の発展に際して人類が試みてきた "SAVE" に対する挑戦、「一年に一度獲れすぎたものをどうするねん問題」など、自分なりに取り混ぜて面白く料理させてもらった。
救荒食として、おせち料理にまつわる言われや茎で出来た城(熊本城)など、韻を踏みつつそれまでの歴史を紐解いていく作業は非常に楽しかった。「カロリーメイト」は登録商標なので、「有名なメイト」と歌詞を差し替えて歌った。
オケは、飢饉の空気を経て徐々にユートピアの雰囲気に移行させたく、ちょうどその頃ハマっていたスーパーファミコン音源を使い、"FF6" あたりに出てくる荒廃した街などを頭に思い浮かべながら、ピアニカも入れたダブベースで構築していった。
「形があるのは貴方のおかげさ」というワードをラストで叫ぶために、全て前振りとして構築していった。
なんだかんだで、作り始めたら楽しすぎて一瞬だった気がする。こういった作品って、作りながらどんどん新しいアイデアが音にも詞にも命を宿していくから面白い。
"フットワークの軽さ" が完全に功を奏した形。僕が面白そうな企画案件をわりと即決で受ける大きな理由でもある。
改めてこういった機会をくれたお二方にお礼を申し上げたい。
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最近、気分が高揚している時、けっこうな割合でこの曲を口ずさんでいる事が多いなと感じたので、思い出したように紹介させてもらった。
今もエンディングテーマとして使用して戴いているので、興味ある方はぜひ聴いてみてください。
今日はこんなところで。