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TXT REVIEW:感情温度の変化に陶酔する【minisode2:Thursday’s Child】

こんにちは。NOREARIKAです。

今回は、TOMORROW X TOGETHER「minisode2:Thursday's Child」を私なりに振り返ってみます。

結論から述べると、このミニアルバムで感じられるのは「感情の温度の変化」です。

『minisode 2: Thursday’s Child』は初めての別れを経験した後、現実否定、断念、怒り、喪失感など、感情の渦に巻き込まれた少年が、これらの感情をあるがままにむき出しにした後、ついに関係が終わったことを受け入れる物語を描いている。少年は未成年から大人に成長していく中で別れを経験し、自分と自分を取り巻く世界のことを少しずつ知っていく。

BIGHIT MUSIC

BIGHITの公式サイトに記載されている通り、今回のコンセプトの軸となるのが「初めての別れ」。
少年はこの経験から、自分自身に生まれた複雑な感情に浸っています。その感情に浸っている様子は、このミニアルバムの曲順からひしひしと伝わってきます。

この記事では、少年の感情がどのように変化しているかをまとめていきたいと思います。(あくまで私の考えですのでエンタメ感覚で読んでください)

Opening Sequence

1曲目を飾る「Opening Sequence」
この曲で少年は「初めての別れ」から“過去の思い出”と“自分自身”を静かに振り返り始めます。

感情の湖に“別れ”という雫がぽとっと落ちたかのように始まるピアノの音。そして重なるテヒョンの声。(彼はオートチューンのように声を切り替えるのがポイントだと語っていました。)

初めての別れの痛みというのは、グサッと刺さるような衝撃というより波紋が広がるようにじんわりとえぐるものなのかなと感じます。

テヒョンが「Chance on me」と前半では歌っているのに対し、後半では「Blame on me」と歌っています。
これは記憶の中で繰り返される別れのシーンの中で、少年が「元に戻りたい」という気持ちと「自分が悪いんだ」という気持ちの反復を繰り返しながら、最終的に自分を責めることで苦痛の渦に身を委ねているように感じます。

GOOD BOY GONE BAD

2曲目はタイトル曲「GOOD BOY GONE BAD」
この曲で少年の感情の温度は頂点に達します。感情の熱量がサウンドやTXTの歌声からもひしひしと伝わってきます。

「Opening Sequence」で静かに自分を責めていた少年ですが、次第に怒りや批難の矛先が“君”に向けられます。
堕ちていく自分を“君”に見せつけることが、少年が今できる最大の復讐なのかもしれません。

「壊れた気分は悪くない」「目を閉じた絶望の夜は甘美」という歌詞から、少年は怒りや失恋の痛みに満たされた海に浸っているような様子も感じとれます。

Trust Fund Baby

3曲目は「Trust Fund Baby」
この曲から徐々に少年の感情の温度はゆるやかに下っていきます。

「GOOD BOY GONE BAD」で“君”を責めていた少年ですが、やはりその感情は時間が経つにつれ虚しく感じてくるのでしょう。現実と向き合うことになります。

「LO$ER = LO♡ER」の歌詞「ドル記号のある恋人」は、「トラストファンドベイビー」では「ドル記号のない愛」に変わります。「LO$ER = LO♡ER」の少年は、愛を守るために必要なのはお金だけだと固く信じていましたが、残念ながら彼の愛は失敗しました。

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THE CHAOS CHAPTERで“君”という愛と出会った少年は、初めての別れを経て改めて自分がゼロであることに気づきます。
「I wish everything's a lie(全部ウソであってほしい)」と繰り返される歌詞に“絶望の中でも光をみたい”という少年の本音が表れているなと感じます。

救いようのない歌詞ではありますが、複雑な音の重なりがないこの曲はTXTのボーカルがストレートに耳へ届き、叙情的なメロディも相まって聴く人の心に寄り添ってくれるような曲です。

Lonely Boy (네 번째 손가락 위 타투)

4曲目は「Lonely Boy (네 번째 손가락 위 타투)」
少年の感情の温度がぬるくなってきました。
ぬるい温度ほど浸る時間はゆっくりと流れ、その感情に浸ることで少年は自分自身と向きあっているんだなというのを感じます。

この曲で少年は、改めて自分自身を責めますが「Opening Sequence」とは違います。少年と“君”との思い出が薄れ始めているのです。

それに対して少年の薬指に残ったタトゥーは変わることなく色濃く残っており、タトゥーが“君”を思い出すきっかけになっているのかもしれません。
薬指のタトゥーは少年の喪失感をじんわりと刺すのです。タトゥーをいれた時の針の痛みのように、肌にインクが入っていくように。

「She ain't my one and only, one and only(彼女は唯一無二ではない)」という歌詞がありますが、これは「0X1=LOVESONG」で歌っていた「I know you're my 1 & only」にリンクします。なおかつ「one and only」が繰り返されていることで、より気持ちが強調されているように感じます。

Thursday's Child Has Far To Go

最後は「Thursday's Child Has Far To Go」
この曲が最後にくることでどれだけ救われたことか……。
本ミニアルバムで唯一前向きな曲です。少年の心に変化が表れています。
冷たくなった少年の感情の温度は、再び熱を帯びていきます。

「Trust Fund Baby」で改めて自分がゼロであることに気づき、「Lonely Boy」で喪失感を強く感じ、少年はまた絶望の海を泳いでいくのかと思いきやそうではありませんでした。

「自分には進むべき道が多くあり、涙を笑顔に変えていけるんだ」という少年の前向きな気持ちが見えます。
「#breakup」と「#glowup」という相反するハッシュタグが並ぶなんて素敵ですよね。

唯一無二と思っていた“君”以外の選択肢を持った少年。
ここでコンセプトの文を読み返すとこれは単なる失恋を謳ったミニアルバムではないことに気づかされます。

少年は未成年から大人に成長していく中で別れを経験し、自分と自分を取り巻く世界のことを少しずつ知っていく。

BIGHIT MUSIC

自分と自分を取り巻く世界のことを少しずつ知っていく少年のこれからの旅が楽しみです。