時代

先々週の水曜からテレビ朝日系列で放送を開始した『お笑い実力刃』が楽しみである。初回の丸々一時間「東京03」。翌週はショートネタとロングネタを二本ずつ「シソンヌ」「ジャルジャル」。今日が元来の流れを組んだ同一の演者による漫才とコント、すなわち二刀流となっている。

まずまず、この番組をどんなもんじゃろかと面白半分で見ていたのだが、初っ端の放送から度肝を抜かれた。コントグループ、東京03の10分以上のネタをつまりはライブ用の尺で作られたコントを、丸まま3本も放送されていたからだ。

それから先週のシソンヌ、ジャルジャル回。放送予告ではショートネタとロングネタの二本ずつとあったことから、てっきり東京03回と同じくライブ用の長尺コントを一本、あとはショートコント? と首を傾げたものの。実際には従来のテレビ放送用5分ネタをショートネタと謳っていて、ああ、なんてお笑いに真摯な番組なんだろうと納得させられた。

司会を担うサンドウィッチマンとアンタッチャブルとのトークも極力おふざけを省く真剣勝負であって、何の雑味も持たないそのものの味を楽しめた。それはYouTubeの各公式チャンネルからライブ映像を欲することと同等に、むしろ司会者との絡みやネタ中の笑い声なんかが当たり付きのおまけのように二重三重と得した感じさえあった。

賞レースと呼ばれる番組でのネタ時間が当たり前になって。わたしの頭にぱっと思いつくのは『爆笑オンエアバトル』辺りだろうか。毎週の放送枠に収まるネタの長さを自然とテレビで追うようになってから、自分の中ではそれらがお笑いの全てなんだと勘違いも起こすくらいの時代が長く続いた。けれども、いよいよ芸人達の真髄、真骨頂を目にする日が訪れたのだと気持ちが昂ぶる。なんだか興奮してしまった。

お笑い番組も全部が全部、この番組のようになって欲しいなとは思わないけれど。毎週毎週を期待と充足で埋めてくれるような『実力刃』が、これから先も様々な当たり前だか勘違いだかの先入観を一刀していくのだろう。

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