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100個のやりたいこと

例年、年頭には人並みに「一年の抱負」的なものを日記に記していた。
でも、今年はそれをしなかった。
たまたま年始にツイッターで猫町倶楽部の山本さんのこんなツイートを見かけたからである。

確かに、今年の目標なんて掲げてしまうと、一年をその達成のために生きることになるし、万一達成できなかったら、それは成果のない無駄な一年だった、ということになりかねない。
そんなはずはない。私はいつだって、人生に無駄なことは何もないはずと信じてきたではないか。
というわけで、早速スマホにごくシンプルなToDoアプリを入れ、片っ端からやりたいことをリストアップすることから私の一年が始まったのだった。

しかし、やってみると分かるが、100個となると案外思いつかない。
ごく些細な「あれ食べたい」や「やろうと思って後回しにしていたちょっと面倒な家事」レベルのものまで入れても、60個あまりしか挙げることができなかった。
日頃自分は無駄に好奇心旺盛でやりたいことだらけの欲張りな人間だと思っていたので、これは意外だった。どうやら私は自分で思っているより無欲で行動力もない人間だったらしい。
とはいえ特段ストイックなタイプでもなし、残りはおいおい埋まるだろうと呑気に考え、とりあえず私の一年は63個の「やりたいこと」と共にスタートしたのだった。

それからあっという間に3ヶ月と2週間が過ぎた。
この3ヶ月が誰にとっても想定外の展開だったことは間違いないだろう。
まさか、こんな春を迎えることになるなんて。

私の63個のやりたいことリストは、あれから5つ追加されて計68個になったものの、早くも一年の1/4が過ぎた今、達成率わずか13%で足踏みをしている。
おまけに予期せぬ疫病禍で世の中の情勢が一変してしまった為に、残った未達成の「やりたいこと」のうち少なくとも2割が、既に年内の達成見込みがほぼ絶望的になったり、完全に断念せざるを得なくなってしまった。
無念である。

それでも、かろうじて現時点までに達成できた13%の中には、自分にとって一年の抱負レベルに大きなこともあった。
「大人絵本会に区切りをつける」もそのひとつ。

私が過去10年に渡り毎月開催してきたツイッター上の絵本のオンライン読書会「大人絵本会」は、この3月をもって定期的な活動を休止した。
3月26日に開催された第123回大人絵本会は、十周年記念回にして定期開催最終回として、これまでの思いを直接語るべくツイキャス開催とした。
だが自分自身この厄災に翻弄されまくり、ろくに準備もせず無理やり予定通りに開催したその放送は、案の定グダグダな進行となってしまった。
せっかく参加してくれた皆さんには聞き苦しいものを届けてしまったが、思えば大人絵本会はいつもそんな会だった。最後までうちの会らしかった。

とにかく、これで私が年始に書き記した「今年やりたいこと」がまたひとつ、なんとか達成できたわけだ。
また、そのツイキャス放送中に宣言したことで、数年来あたためていた「『えほん』うるふを卒業する」というもう一つの目論見もあっけなくクリアした。これで一気に2つ達成。
さらに、えほんうるふが消えたことで、そのアカウントで長らく続けてきた絵本のレビューブログ「オトナノトモ」も更新を停止することにした。

そして、代わりに始めたのがこのnoteである。
これでまた一つ「今年やりたいこと」を達成。めでたしめでたし。

ちなみに私が年始に思いついた63個のやりたいことのうち、この3つは特に自分自身にとって大きいことだった。それが早くも達成できた今、もはや今年やりたかったことの半分はやりおおせたような気さえする。
が、いやいや、今年はまだ始まったばかりだ。
たとえ世の中がどんな災禍に見舞われようと、それによってどれほど自分の予定が乱され生活変容を余儀なくされようと、それはいつだって起こりうることだったはずだ。

ならば、不安だ不便だ不条理だとぼやいている暇はない。
この降って湧いた時間の余裕や身体の自由が明日もある保証はないのだ。
今でも出来ること、いや、今だから出来るやりたかったことを改めて考えよう。それでリストの残り32個を埋めるのだ。
やれないことを数え上げるより、100個のやりたいことリストを足がかりに、ひとつひとつ達成しながらしぶとく生き抜いてやろう。
こんな時だからこそ、後に残るのが悲しい思い出ばかりにならないように。

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