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絵本の読めるおそうざい屋さん

ちょっとしたご縁で細く長く親交のある絵本家の広松由希子さんが、この度「えほんとごはん」をコンセプトにした、絵本の読める惣菜店、83goccoをオープンされた。

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83gocco(ハチサンゴッコ)という、響きも可愛らしいその店名の由来は、「おみせやさんごっこ」だとか。
今や絵本カフェは全国あちこちにあって珍しくもないが、絵本デリという業態は私はまだ見たことも聞いたこともない。なんて素敵な目の付け所だろうと感心した。
まして、絵本はおやつというより心のごはんとして育ち、そのまま絵本グルメ(?)な大人になった自分としては、そのコンセプト自体がなんだかうれしくて、勝手にワクワクしてしまう。

そして迎えたオープン日。
数日前に発表された遅い梅雨明けから一気に気温があがり、真夏らしい盛大な蝉の声が開店のファンファーレのように聞こえるなか、さっそくお店にお邪魔してきた。

場所は、都営地下鉄大江戸線牛込柳町駅から徒歩数分の、閑静な住宅街の中。散歩がてら少し足を伸ばせば、神楽坂も市ヶ谷も曙橋も徒歩圏内だ。

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地図を見ながら行っても一瞬通り過ぎてしまったのは、思いがけずお店が団地の敷地内にあったからだ。
面白い立地ですね、と広松さんに伺ったところ、実はこの特殊な場所を活用してほしいとのリノベーションコンペがあり、まったく思いがけず審査に通ってしまったことが開店に繋がったとのこと。

なるほど、コロナ禍のこのご時世に飲食店を新規オープンするからには、やはりこの地に来るべくして来た何か強力なご縁があったのかもしれない。ということは、もしやここはもはや・・・・・パワースポット?

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可愛らしい店構えの通り、こぢんまりとした店内はごくシンプルな設えながら、日差しがたくさん注ぐ明るくて清潔感に溢れる空間になっていた。
店内に入ってすぐ右にはキッチンとお惣菜を並べたコールドケースがあり、テイクアウトなら簡単に立ち寄って買える。(写真は店内より撮影)

厨房で腕を振るうシェフは広松さんのお嬢さん。まだお若いのに目にも舌にも美味しいお料理を作るセンスは、お母さん譲りかな? お忙しい中わざわざ手を止めて挨拶をしてくださり、穏やかな笑顔にホッ。作り手の顔が見えるお料理はこのご時世一番安心できる。

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向かって左側には書棚で囲むように小さなテーブルも並んでいて、いずれ店内での飲食もできるとのこと。

さらに靴を脱いで奥の間に上がると、壁いっぱいに絵本がならんだ書棚が目に飛び込んでくる。
キャー!とばかりに駆け寄ってそのずらりと並んだ背表紙を眺めていて真っ先に思ったのは、やはりここは広松さんのお店だなということ。なにしろ、置いてある絵本のラインナップが普通じゃないのだ。いわゆる学校選定図書的な定番絵本はむしろ少なく、偏屈な私が密かにお気に入りにしているような知る人ぞ知る名作がいくつも目に入り、テンションが上がる。ヨーロッパ・アジアなど広く海外の原書ももたくさん。全て広松さんの私物とのことで、中にはまさにお蔵出しといえる貴重な作品も・・・!
恐らく、相当絵本に詳しい方でも初めて出会う作品がたくさんあるはず。これらを手にとって読むことが出来るだけでも、ものすごく贅沢な空間だと思った。正直、ここなら私は何日でもこもっていられる。というより、籠もりたい!!
*当然ですが、この奥の間の入室は広松さん在店中に限るそうです。

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さらに、絵本部屋の壁はギャラリー仕様になっていて、広松さん所有の絵本作家さんたちの原画が惜しげもなく展示されている。それどころか、別の書棚の上には著名な作家さんたちの立体作品まで飾られていて、これまたなんとも贅沢!まるで小さな絵本美術館だ。

もっとも、広松さんのご経歴を思えば何の不思議もないのだけれど。
詳しくは、ご本人のサイトにて・・・

店内に展示されている作品はどこまで画像公開していいのか分からず撮影しなかったので、興味のある方は是非お店に足を運んでみて欲しい。もちろん、折々展示作品も入れ替えるとのこと。

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そんなこんなでお話は尽きぬものの、オープン日ということもあり早々にお惣菜を買って御暇することにした。
この日のお品書きは、オープン記念ということでプレオープン中の来店客に好評だったお惣菜を3つずつ組み合わせたセットが2種類のみ。しかも特別価格とのことでありがたく一つずつ購入して帰った。

ちなみにツイッターの公式アカウント(@83gocco)が予め教えてくれたこの日のお品書きは、以下の通り。

【オープン記念おそうざいセットA】
  ・紫キャベツとドライフルーツのハニーマスタードマリネ
  ・ズッキーニとツナのクスクスサラダ
  ・鶏肉のグリーンオリーブ煮

【オープン記念おそうざいセットB】
  ・つるむらさきの胡桃和え
  ・油揚げと生麩のたぬき
  ・和牛となすの生姜煮

たまたま昨日の夜は娘と二人での夕食だったこともあり、せっかく彩りも綺麗なお惣菜なので小分けにされたお皿にちょこちょこと盛り付けてみた。

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目にも美味しいとはこのことだ(^^)
もちろん、実際のお味も素材の味がしっかり分かる薄味で、どれも野菜たっぷりで我が家の好みにぴったりだった。

ともあれ、素敵なお店が自転車圏内にオープンしてうれしい限り。
これからちょくちょく立ち寄ろう。そしていずれこの疫病騒ぎが落ち着いたら、是非絵本好き仲間みんなで集いたい。





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