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地方だからこそ育てられる|ジンギの快走

GW最終日に行われた兵庫大賞典で、昨年の園田年度代表馬であるジンギが見事優勝。
生え抜きとしては破格の獲得賞金一億円の大台に5歳にして到達した。

彼自身が稀有な才能を有していたことはもちろん疑うべくもないが、彼が大台に到達できた背景には、地方競馬の賞金体形が急速に改善していることが挙げられる。
例えば兵庫大賞典の一着賞金は、一時は500万円程度まで引き下げられていたが、この三年で800万円→1000万円→2000万円と大幅改善し、今や中央のオープン特別に匹敵する高額賞金となった。

加えて兵庫では2着以下の賞金額についても、今年度から160方式→190方式に見直され、手厚い賞金体形を敷くこととなった。
このような賞金の改善がいま、全国各地の競馬場で起こっている。

<補足:160方式、190方式とは>
160方式=二~五着の賞金総額が一着賞金の6割となる方式。
一着賞金100万円のレースの場合、二~五着の賞金総額は60万円となる。
190方式の場合は9割となる方式であり、同じ例であれば二~五着の賞金総額は90万円となる。


中央競馬の馬房が飽和状態となる一方、地方競馬でも馬房が空かないほど盛況との報を目にすることも増えた。
国内の血統レベルは底上げされており、社台やノーザンから零れ落ちた血脈が日高で花開くことも増えてきた。

中央競馬では年々競走馬のサイクルを早めており、ひとたび着を外せば出走のハードルすらも高い。
「着いてこられない馬は早々に振るい落とせばよい」と言わんばかり番組編成となっている中央競馬のサイクルは「使いながら成長を促す」という手法が極めて採りづらい環境となっている。
そんな馬とオーナーにとって地方競馬が賞金的な魅力を伴えば、地方で馬の成長曲線に合わせて使っていく戦略が合理的になってくるかもしれない。


実際、ジンギはカナロア×ディープという紛うことなき良血馬であるが、前進気勢に乏しく中央デビューを断念した経緯があると聞く。(※1)
レース経験を数多く積む中で着実に力を付け、全国区の重賞や交流重賞に手が届いてもおかしくない競走馬にまで成長を遂げた。

今後も同様に、何らかの理由で中央競馬から零れ落ちた才能が地方で開花することも増えてくるのではないかと思うし、そうなることを期待したい。
競走馬のサイクルが高まり切った中央ではモノにならない逸材が、オグリキャップやイナリワンとは少し異なった色合いを帯びながら、中央へ殴り込んでくることもあるかもしれない。
ジンギとカジノフォンテンが躍動したGW最終日の競馬は、競馬を広く支える地方競馬の可能性を大いに示した一日となったように思う。

※1 https://news.netkeiba.com/?pid=column_view&cid=47982


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