ハダカの心ー乳腺炎になった話③ー
「ノッホさん、熱測ってきた?」
「はい、家を出るときは38.5℃で...」
「ま、もう一回測っときましょうね!」
最初の会話の意味!!
一言ひとことが最後になっても、
いつ倒れてもおかしくない体力の私は助産師さんとのやりとりに二重でふらつきを覚えました。
そして、体温計が示したのは《40.0℃》という、思いもよらない温度でした。
外での待機中に体温はさらに上昇していたようでした。
自分の状態を数字で目の当たりにすると、
脳の煮えたぎっているような感覚や、眼球が熱を帯び、涙が滲んでくるのも当然の結果だ、
とさらに全身の力が抜けていきました。
それから、手首に抗生剤の点滴を繋がれ、
上裸に渇いた毛羽立つタオルをかけられ、
助産院とは違い、炎症のある箇所をガシガシと強く揉みしだかれました。
(どういう訳か、娘は私の股の間に寝かされていました)
遠退く意識のなかで
・カンジダ感染症の治療中であること
・乳腺炎の原因は傷からの細菌であろうこと
などの会話を交わしながら一通りの処置を終え、
「じゃあ、赤ちゃんに飲ませてみましょうか。」
となりました。
助産師さんが娘の顔を私の胸に押し当てようとすると、私は咄嗟に自分の身をかばい、
娘に背中を向けていました。
「こ...怖いです...
娘におっぱいをあげるのがこわいです...!」
私は肩を震わせながら、人目もはばからず
わんわんと声をあげ泣き出していました。
もちろん、娘もギャン泣きし始めました。
=絶賛ママのおっぱい、お断られ中!=
手が付けられなくなった娘はひとまず別室に預けられ、ミルクを与えてよいか聞かれると、
私は素手で涙をべちょべちょに拭いながら大きく何度も頷きました。
つづく