#04 風船を持って歩いている
綺麗な佇まいの、喧嘩の声が響く家。
学校を休んで走って向かった好きな人の最寄駅。
アルバイトを三つ掛け持ちして、休む日々。
飲み歩くのに最適だった一人暮らし。
朝5時、外で横たわるおじいさん。
恋人を追いかけて来た東京。
思えばずっと、自分勝手になにもせずにいた。
ただそこに居て、朝が来たら泣いて眠る。
今の私は、夜眠る。
眠れない日はまだあるけれど、きっとこの眠れない時間は必要なんだと思う。
あの頃の朝を待つ時間は、どうしようもなく退屈で寂しくて、人を妬んでばかりだった