見出し画像

Vol.7 聖母マリアとしてのわたし

 聖母マリアの気持ちになってしまったわたしは、男の幸せだけを考えていました。どうやったら男が幸せになれるのか。

 3人の子供がいて、とても懐いていて可愛い、子供と別れたくないから離婚はしたくないと言う。わたしも、両親が離婚寸前のところで止まっている幼少期だったので、離婚したくないというのなら尊重しようと思った。

 そのためにじゃまなのは愛人Aと愛人B。特に、狙った獲物はどんな手段でも逃さないような蛇のような愛人B。でも、男はそちらとも別れられないという。どうしようもない奴だ。だけど、わたしは無理に別れさせようという気にはならなかった。自然に男の気持ちが家族に戻ってくれることを、純真に願って、いつもそういう風に、話していた。
 たとえ私が愛人Cとして存在することになってしまおうとも。

 愛人Cの立場は厳しかった。だって、全て知っているんだもの。なんでも話してくるんだもの。そしてわたしは自分から求めた事は一度もない。いつもおしかけられていた。電話も約束もお泊りも。

 音楽が好きなわたしは、レンタルショップに毎週通い、興味あるシングルを幾つもレンタルし、カセットテープに入れていた。それを家でかけていると、「俺の分も作って」となった。わたしは妻帯者にそんなことをするには、男性の部下から貰っていると言えるように、タイトルとかを書いたことは一度も無かった。これは意識的にだ。当たり前です。嫁や子供がみるかもなのにそんなところにのこのこと出て行きたくない。でも、それも何か月かすると、「タイトルも歌手も買いてや」と言われ、しぶしぶ書くようになった。また、いつも私の部屋で「子供が欲しがってるからちょうだい」と言うので、ダビングしていた。
 それを、愛人Bには(恐らく愛人Aも同様)、「朝、会社行ったら、机の引き出しに入ってるねん」とわたしの押しつけにもとれるような言い方をしてたらしい。ずっと後に愛人Bからの恐ろしい電話があるわけだけれども、その時に、「カセットテープ、子供が聞いてるよ!」と、いかにもそれを言う事でわたしの気持ちを傷つけようとしているように言ってたけど、男に、「子供が欲しがってるから、ちょうだい」と言われ、作って手渡ししていただけだ。男はそんな風に嘘を重ねることで、愛人Aとも愛人Bともうまく付き合おうとしていたんだろう。腹の立つことだ。

 私は本当に、愛人Cとなり果ててしまい、この関係を誰にも知られるわけにはいかないと覚悟するようになった。なのに男はぬるい。逆にバレるような事をしようとする。バラしたいようでもあった。酷い話だ。

 

いいなと思ったら応援しよう!

のらねこ
良かったら、サポートお願いします!頂いたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせて頂きます!そして、ますますコンテンツを充実させていきます。今後ともどうぞよろしくです♡ https://www.amazon.co.jp/hz/wishlist/ls/3L87YE1RQ4JFP