出版社(中間業者)はもう不要なのかーーこれからのプラットフォーマーの在り方とは?ーーー
※本記事は関西在住の20代野良起業家が独断と偏見で斜に構えた考えを垂れ流していくだけの記事です。これが絶対正解!みたいな話ではないので、フィクションを読んでる感覚で起業家のナマナマな意見をお楽しみください。
はじめに
こんにちわ!
『出版からコンテンツ業界を再構築する』を目的に出版プラットフォームを運営していますオタクペンギン(社長)です。
早速ですが、今日の記事は出版社についての話です。
弊社はBookBaseという小説を電子書籍で販売するプラットフォームを運営したりしている企業なんですが、最初にやり出したきっかけも『小説投稿サイトとかから内容そのままで書籍化されて売られるのが当たり前の世の中に、出版社っていらなくない?』と思ったのが最初でした。
そこから、BookBaseをつくって、いろいろとやっていった結果、僕らがやっていることも出版社が担っていることであり、コンテンツを生み出す上でクリエイターをサポートする立場の存在というのは必要だなと感じています。
この話は小説に限らず、個人が直接コンテンツをつくって発信していくなかで、そのマネジメントを担っていた存在は本当に不要なのか。
今日はそんな話を書いていこうと思います。
中間業者は悪なのか?
出版社に限らず、インターネットの活用によって中間業者が駆逐されているといのはどこの業界にもよくある話ですよね。
実際に出版業界は今も紙の本を流通させる仕組みを維持するためには中間業者をたくさんいれないといけない状態が続いています。
中間業者がたくさんいることで起こる弊害っていうのは、簡単に言うと売上の奪い合いなんですよね。文庫本なんかだと1冊700円の売上に対して、これだけたくさんの業者が介在するってことは、何万部とかが当たり前のように売れないといけないわけです。そりゃ大変ですよね。
もちろん、中間業者がいることで効率良く、かつ広いエリアに物流網敷くことができるのですが、以前から顕著になっている問題で、小説を含めて出版全体の市場は毎年小さくなっているのが現状があるんですよね。
業界内の業者全員が食べていけるだけの市場がなければ、業者間での売上の奪い合いや潰し合いみたいなことも起きますし、資本力や影響力の少ない末端からどんどん潰れてしまうという負の連鎖になってしまっているのが今の現状です。
こういう問題は、小説に限らずあらゆる業界で起こっていて、例えば小売なんかでも昭和の時代には小売の王様として君臨していたような百貨店がネットのECの存在によって、売り場を必要としない購買体験が確立されてしまうなどがわかりやすい例かなと思います。
なので、当然のごとく書店などもAmazonを代表とするECで直接購入されたり、出版社が直接本を販売するみたいなことを模索してたりなどもあるわけですが、そもそも出版社すらいらないのでは?というのが、CtoCマーケットの登場で言われ始めていることなんですよね。
お金のかかるコンテンツは駆逐される?
コンテンツにおいてわかりやすい例となるのは、テレビとYoutubeの関係ではないかと思います。
テレビっていうのは、制作会社やテレビ局がちゃんとお金をかけてコンテンツを作って配信するというモデルです。で、これには結構な人が必要なので一つの番組を作るのに数千万〜数億円かかってたりするそうです。(※この辺は全然詳しくないので間違ってたらすみません)
それに比べて、Youtubeは個人のクリエイターが一人から少人数のチームで動画を作成し、それをYoutubeというプラットフォーム上で直接視聴者に届けることができます。
余談ですけど、僕も最近個人的にモーショングラフィックなどの動画作る挑戦とかしてるんですが、パソコンがあればAdobeのソフトとかは月額数千円とかで使えちゃうので、ほんと制作コストが下がってるのは痛感しますね。
これはなにも映像だけに限らず、小説なんかも全く同じ構造になっています。小説の場合は無料投稿サイトが台頭し、そこでランキングに乗ればそのまま出版社が書籍として流通してくれるという流れが完璧に出来上がっています。
この流れが強くなりすぎたために、出版社/編集者不要論も何度も出ています。
媒体問わず、多くの人が関わってラグジュアリーなコンテンツをつくるよりも個人の人がフットワーク軽く創ったものに人々は時間を割いていってしまう。
なんてことになっているのが、今のコンテンツを取り巻く環境ですが、これもまたちょっと本質を外しているのではないかと思います。
CtoCプラットフォームの弱点
中間業者がいなくなることで、クリエイターが稼げるお金も増えるし、視聴者側が支払う対価が少なくとも成り立つモデルが確立されたわけですが、じゃあ個人任せの配信プラットフォームが最強かというと実はそうでもないんですよね。
これは、僕が2年半ほどCtoCで小説販売プラットフォームを運営して初めてわかったことでもあるんですが、まずCtoCの弱点として『コンテンツの多様性は広がるどころか、収束していく』ということがあります。
ぱっと見、逆なように感じられると思うんですが、ニコニコ動画を運営していた川上さんも同じことを言っていて
ニコニコ動画はBookBaseを創る上でのモデルの一つなんですが、やはりBookBaseでもそうですし、他の小説投稿サイトなどを見ていてもジャンルは人気に左右され、人気ジャンルにクリエイターは手をつけざるを得ないという流れになります。
無料で公開するノーインセンティブの世界ですらそうですから、インセンティブが明確な有料還元プラットフォームであればこの流れはさらに加速します。
もちろん、コンテンツに多様性が必要なのか?っていう疑問もあるかと思いますが、僕の考えとして『新たなキラーコンテンツはニッチから生まれる』と思っていて、なぜ?と思うと難しいのですが、多様なコンテンツを創ることが許されない環境は最終的にクリエイターたちにとっては居心地の悪いものとなり、彼らの熱狂を許すことができなくなるからではないかと思っています。
特に僕らが運営するBookBaseは、一時的に儲けられればいいやではなく、これから日本の創作環境においてベース(基礎)となることを目指すサービスです。なればこそ、余計にコンテンツ作成をクリエイター個人に全投げするのではなく、ある程度の舵取りをしていく必要があると思っています。
そして、2つめの弱点として『玉石混交にならざるを得ない』ということです。
当然の話ですが、プラットフォームの場合は基本的に利用者同士のマッチングの機会と場を提供しているだけでそこの中でどういったコンテンツのやり取りを行うのかはユーザーに任せられます。※公序良俗に反するものや、著作権を侵害するものなどについては弾いてくれたりもしますが、こういったプラットフォームは初期についてはスクリーニングをかける人手も割けず、無法地帯になることが多いです。特にネット黎明期のYoutubeとかひどかったですからね。
これは、CtoCプラットフォームの強みでもあります。
運営側がコンテンツを振るいにかけないからこそ、コンテンツの数はどんどん増えていきますし、更新も早くなりますからね。
しかし、逆に増えすぎたコンテンツの前に視聴者はコンテンツを探すためのスクリーニングを自分でしなければならないという代償を払うことになります。
これ、無料のプラットフォームならまだわかりますが、有料のプラットフォームだと結構辛いものがあるんじゃないかと最近特に感じています。
加速度的に増えていくコンテンツに対して、GAFAなどのテックジャイアンたちはAIなどを使って、レコメンドによるパーソナライズで解決してしまうというのが最近の潮流ですが、これも個人的にコンテンツという文脈に合うのかというと懐疑的です。
ECならいいと思うんです。
必要なものや便利なものを目的ベースで探すんですから。
しかし、コンテンツの場合はその人の好みを含みつつ、ちょっと外れたコンテンツとのふれあいとかも大事なんですよね。これをやっていたのが、実は書店の強みだったんじゃないかと思います。
というわけで、この『コンテンツの多様性が収束してしまう』ことと『玉石混交によるユーザーが払う代償』というのはCtoCであれば避けられない課題なんじゃないかと思います。
中間業者だからこそ、できることを再定義しよう
では、翻って考えるとどういうプラットフォームが良いんだろうかという話ですね。
これについて、今のところの僕の考えとしては『中間業者がちゃんとクリエイターと視聴者の橋渡しを行って、コンテンツクオリティの最低限の担保と多様性の確保を行いつつ、コンテンツの交通整理をする』というのが最も良いんじゃないかと思っています。
要は、間に立つゲームマスターとしてちゃんと仕事すればええやんってだけのことです。もちろん、DXを行って役割を無くした事業者をちゃんと新陳代謝させて利益の再分配を行うことは大前提としてです。
僕はこの2年半ほど、出版プラットフォームの代表として運営を行うなかでクリエイターの方々の悩みを聞いてきました。
そして、思うのはクリエイターになんでもかんでもやらせようとする流れも行き過ぎているんじゃないかということです。
Youtubeなどを見ているとクリエイターでありながら、マーケティングの考え方もできるマルチプレイヤーはたしかにいます。
しかし、そうじゃない人が大多数のはずなんですよね。そして、そんな彼らはプラットフォームの片隅で誰にも知られること無く消えていきます。
ただマーケティングで負けたというだけでコンテンツの良し悪しの勝負に行く前に負けてしまうというのは、果たして健全と言えるのか。僕はその方向はもういいんじゃないかと思います。
クリエイターと一緒にプラットフォーマーが立って、コンテンツをより良いものにして、それを視聴者に届ける。
当たり前の話だったことをもう一度改めてやることが必要なのではないかと思います。
そして、中間に入る存在として忘れてはいけないことが『リスクを取ることを個人に押し付けてはいけない』ということです。
これまでの出版社は、悪い言い方をしてしまえば『多くの作家から売れそうなものだけをピックアップして売り、売れなくなれば見捨てて次の作家を拾う』そんな構造になっていたと思います。
生き残り戦略としては理に叶ったことですし、出版社だってやりたくてやっていることではないと思いますが、それをするのであれば余力があるうちに短期的な利益を捨ててでも作家の育成を並行して行うなどしていく必要もあったんじゃないかと思います。
ここは出版社に限らず、これまでの出版業界を取り巻く人達全員の功罪でもあるのかもしれません。
でも、それもいい加減どこかで転換していく必要があると思います。
最後に
というわけで本日は中間業者(プラットフォーマー)の在り方について書いてみました。
これはBookBaseのようなサービスをやる上でも避けられないことですし、CtoCで走ってきた僕たちだからこそわかる限界を感じています。
コンテンツプラットフォームにおける巨人Netflixの創業者は『経営者がクリエイターの邪魔をしないことが成功の鍵となる』みたいなことをどっかに書いていましたが、ほんとにそうだなと思います。
資本主義の市場内で活動するクリエイターである以上、すべての人が報われるというのはどこまで言っても理想論でしかないというのは僕もわかっています。
その上で、できる限り作品の可能性を広げるできるかどうかは僕たちのようなプラットフォーマーに必要な考え方なのではないかと思います。
BookBaseも、ただの電子書籍販売プラットフォームから脱皮して、新たな場へと変化を遂げていこうとしている真っ只中です。
実際どこまでいけるかはやってみないとわかりませんが、今年の夏くらいには皆様へ具体的なロードマップをお伝えできるように頑張ります。
というわけで、本日はここまでです!
お読み頂きありがとうございました!!
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