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読んでない本の書評30「ねじの回転」
最初に計りに載せたときは200グラムだったのに、スマホの空き容量が足りなくて無駄なデータを消したりモタモタしてるうちにいつの間にか2グラム増えた。さて、何の2グラムだろうか。
「ダメだこの人テンパり過ぎだって。嫌な予感する。まずいよまずいよ。」と思って手に汗握ってたら全容が分からないうちにいきなり話が終わる衝撃。
「ん?でもこの子死んでないよね?のちのあの人なんだもんね?」と自動的に最初のページに引き戻される。ねじのようにぐるぐるとらせん状に回転させられるのは私の方だった。
遠回りな会話をせずに、もうちょっとずばっと核心をついて話し合ってくれていたら、読解力にだいぶ問題のある私でも理解できただろうに。
年頃の女の子にプレッシャーをかけるといろんなものが見えるもんだと思う。活力は溢れすぎてるし、お行儀よくしなくてはならないし、若さをどう扱っていいのかもわからない。生き延びるには不思議なものを見て、不思議なことを言うしかないっていう状況もあるもんだ。
お化けにあったことはないが、私は列車が夜空に向かってふわっと浮いていくのと、暗い雨雲から襲ってくるでっかい猛禽類を見たことがある。…その時はそれなりに見る必要があって見たのだから、仕方ないのだ。とっくに若い娘じゃなくなった今となっては、傍若無人な前頭葉を謝るしかない。
獲得すべき知恵は、自分が見たと思っているものについてしゃべったりしゃべらなかったりする用法用量を適切に加減することだろう。誰でも彼でも自分の土俵に引き込もうとすると、本人が思ってるよりやっかいな結果を招いてしまう可能性がある。
私の印象では恋物語、だった。行く当てのない恋の話が、たぶんみっつ入っている。でもこれは男性が読むとまた違う話なのかもしれないし、もう一回読んだら、また違う話なのかもしれない。分からないなりに何か言いたくなる不思議な話だ。
びっくりしたことに、読み終わったら最後のページから四つ葉のクローバーが出てきた。誰かこの本の「前任者」からのバトンだろうが、ずいぶんと古風な趣味だ。「ねじの回転」を読むような人で、ロマンチックな幸運の印を大事にする のはどんな属性の人だろうか。そのうち暗い窓の外に立って、ブライの屋敷に幽霊が実在したのかどうか一緒に語りあってくれるなら、こちらとしては歓迎である。私にしか見えないタイプの人でもややこしい状況になるような口外はしないと約束する。