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あなたのすぐそばにある”カモシレナイ”   ハニートラップ考

ハニトラでプロパガンダを暴露されたCNNディレクター

CNNのテクニカル・ディレクターが”コロナの恐怖心を煽ると視聴率が稼げる””自分たちがやっていることはプロパガンダ”というようなことを、うっかり口にしたところを、プロジェクト・ヴェリタスに暴露されてしまったことがありました。動画によって暴露された内容は、個人的には「メディアってそういうものでしょ?しかも、CNNだからね」くらいのものだったのですが、この動画を最初から最後までじっくりと見てしまったのは、これがハニートラップによって隠し撮りされた動画だったからです。ジャーナリストがマッチングサイトで、ターゲットを捕まえ、デートという名の取材を行ったようでした。

ターゲットにされ、ネット上に実名ごと晒されてしまったのは、かわいそうといえばかわいそうです。が、よくもまあ、ペラペラと。出会ったばかりの人に企業秘密を語りますなぁっというのが驚きです。これは私の偏見かもしれませんが、「ほら、俺って、業界人ジャーン」臭を所々に感じてしまったのが、また、気の毒で。人はなぜハニートラップに引っかかってしまうのか?今回はハニトラについて考えてみたいと思います。

ハニトラの歴史

私は中国で仕事をしていたことがありますが、当時、いろいろな種類のハニトラに引っかかった人の話を聞く機会がありました。アメリカでも昨年、カリフォルニア州のエリック・スウォルウェル下院議員のハニトラ騒動がありましたが、”親密な関係”にあったとされるスパイ疑惑があったのは、中国人女性。このスゥオルウェル下院議員は、民主党の大統領候補にもなったくらいの人で、ナンシー・ペロシ下院議長の寵愛を受け、米政府の機密情報に通じる下院情報特別委員会に所属していました。

大騒動の最中、スパイとされた通称ファン・ファンの容姿について、「あれ?」という声もありました。おそらく”スパイといえば絶世の美女”という印象を持っている人のコメントではないかと思います。(”スウォルウェル””ファンファン”で検索すると、いろいろな”大物”との写真が出てきます。かなり手広く活動していた優秀なスパイだったようです。個人的には可愛らしい人だと思います。)

ハニトラを仕掛ける上で重要なのは、相手の嗜好や思考を熟知することです。仕掛け人となる女性は必ずしも世間一般でいう美人というわけではありません。絶世の美女が近づいてくれば警戒する人も、”手の届くアイドル”なら、ガードを下げる可能性があります。もちろん、絶世の美女だから落ちるという人もいるでしょう。さらに、そもそもハニトラには絶対に引っかからないという人もいます。この層に余計なことをすると、変な動きがあることを察知されてしまう危険もありますから、ここはスルーするに限ります。

世界中でさまざまなハニトラが行われている中、数の多さや質の面でも、優れたハニトラを仕掛けてくるのが中国だと思います。それもそのはず、このハニトラの歴史を辿っていくと、”兵法三十六計”の1つ”美人計”にたどり着きます。自分がかなり不利な状況にある場合、敵に美女を送り込み、女に溺れさせることで、戦意を喪失させたり、内部崩壊を起こさせたりさせ、結果的に敵を倒すというものです。”六韜”でも、ハニトラによる戦術が陣営の組み方等、通常の戦術と並ぶ形で紹介されています。先程の”相手のことを熟知する”というのは兵法の鉄則です。

どの書物に書かれてあるのが一番古いのかはわかりませんが、ハニトラはおそらく3000年以上の歴史を誇る戦術。優秀な武将がハニトラによって倒された史実を鑑みても、自分が仕掛ける予定がないという人も、知っておいた方が安全に暮らせる戦術なのです。

なぜ引っかかるのか?

ハニトラは、3000年間にわたり、練りに練って、発展させた優れた戦術だから、引っかかりやすい・・・と言ってしまえばそれまでなのですが、中国でのハニトラ話を聞いているうちに、1つの事実に気がつきました。それは、ハニトラに引っかかった多くの人がハニトラという戦術について知っているということです。

ハニトラの威力をすごく感じたのは、「Aさんって知っているでしょ?あれはハニトラだと思うんだよな」というBさんのことを、Aさんが「Bさんの件、聞いた?ハニトラに引っかかっちゃったみたいでね」と語っていたことです。第三者として話を聞いた私としては、「お二方とも、しっかりやられていると思いますよ」だったのですが。

”世間では、ハニトラなんてものが横行しているが、この愛だけは本物なんだ”。

そうはっきり言葉で語られたわけではありませんが、そう思っているのだろうなということはひしひしと伝わってきました。

このことを中国人の友人に話したところ、「あるある。なぜ自分の恋愛だけは本物だと思っちゃうんだろうね」と。彼女は中国に赴任してくる外国人を対象としたビジネスを行っていました。親しくなった顧客から、”これは引っかけられたな”と思う話を聞き、親切にもそれを指摘したところ、「君に僕たちの愛が理解できるはずがない」とキレられ、後日、「助けてくれ、君が正しかった」という連絡が来るまで、ひどい対応を受けたということでした。

恋愛に絡めて何かを盗まれることをひとまとめに”ハニトラ”と表現しましたが、自分の財産を奪われるのは、まだ被害の小さなことのように思います。自己資金が足りなくなり、同僚のクレジットカードを無断使用し、逮捕、解雇、離婚に至った人もいましたし、脅されて機密事項の横流しを要求されたため、自らの命を断つ選択をしてしまったという人の話も聞きました。はめられた人たちは、何かすごい権力を持った人というわけではなく、ごく普通に仕事をしている普通の人たちです。防災と同じで、”まさか自分がターゲットになるなんて”という正常性バイアスは取り除くべきです。

さらに怖いのは、女性のバッグにいる人(組織)によっては、一度、相手の要求に応えてしまったこと自体をネタとして使われ、無限ループに落とされてしまうことです。ハニトラを行う側は、最初から大掛かりなモノを仕掛けてはきません。相手が「これくらいなら」と許容できる範囲でフックをかけ、後戻りできなくなる道筋を作っていく・・・・繰り返しになりますが、ハニトラは立派な戦術です。同様の”システム”は、賄賂を使った戦術でも行われているようです。

ハニトラ2.0は、若くてエネルギッシュな爽やかイケメン!?

ハニトラといえば、仕掛け人は女性であり、引っ掛けられる方が男性というのが一般的な認識かと思います。しかし、近年の日本、そして世界各国を見渡してみると、もっとダイナミックなことが行われているように思えてなりません。

”若くてエネルギッシュな爽やかイケメン”で思い出す、地方や国のトップがいませんか? 彼らの政策を見てみると、中国寄りだったり、全体主義的であったりします。

史上最年少トップとして、市長や知事になった方がいますが、その地方が現在どうか?というと、とある国に水源地や重要な土地を押さえられたり、不当な安値でとある国に売却されたものの、売却時の約束がいっこうに守られていない・・・等々。どうなんでしょうか?見た目のイメージで実施している政策の特色を曇らせる・・・ハニトラ2.0(実際にはもっと上のバージョンなのでしょうけど・・・)は、従来の”仕掛け人1🆚仕掛けられる人1”から、”仕掛け人1🆚仕掛けられる人多数”に進化している気がしてなりません。

先述した、ハニトラで問題になったアメリカ人議員も、本人はこのタイプです。現在はいち下院議員とはいえ、若くして大統領候補戦に出ることができたくらいの有望株。親密な関係だった相手に、どのくらいの機密事項を盗まれたのか(未遂だったのか)は、わからないところですが、下記は「兵法使うならこうするかな?」というあくまで推測です。

ステップ1:ハニトラにより機密事項を盗む                 ステップ2:ターゲットが要職(何らかの組織のトップ)につけるよう、長期的なサポートを行う                              ステップ3:ステップ1、2の弱みを武器に彼をコントロールし、組織(国、地方、企業)を思いのまま動かす                       結果:戦わずして、この組織を実質的に占領(戦いに勝利)したことになる。

一昔前は、大御所的な、”いかにも”というタイプを動かしても、メディアも同時にコントロールすれば、一般市民に”イロイロナコト”がバレなかったのだと思います。が、ネットの時代で、それはなかなか難しくなってきた今、いかにもズブズブ感のある人を動かしたところで、一般市民が反発します。そういう”ズブズブ”からは遠いイメージの人間を使うことで、素性がバレにくくなる・・・ということを狙っているのではないでしょうか。

ここでまた、兵法ならではの戦術が出てきます。彼らは想像できないくらいの長期戦ーー将来有望な若手を見つけ、育てていくーーを挑んできます。仕掛けられる本人にしてみれば、人生最高のキャリアが掴めるかもしれないチャンスが向こう側からやってくるのです。仕掛ける側の成功率は高くなります。それに既存の大物を狙うよりも、本人や周囲のガードも低くなるため、低コスト(低労力)。短期的な成果は期待できなくても、サポート次第では、長期的に爆上がりする可能性を秘めています。ハニトラのポートフォリオを組んでいるのではないか?と思うほどです。

最も心配なこと

長いこと問題になっていたある方のご結婚が今年、何らかの決着を迎るのではないかというニュースが流れています。しかも、その舞台はニューヨーク。大変失礼ながら、ご両人とも社会に揉まれたご経験がない中、新生活をスタートさせる場所としては、ニューヨークは大変厳しい場所ではないかと思います。”元”になるとはいえ、ハニトラを仕掛けてくる側の視点に立てば、利用価値の高い、狙い甲斐のあるターゲット。大袈裟に聞こえるかもしれませんが、”国防”という点でも、心配です。

今のアメリカには2000人くらいのスパイがいるとされています。LinkdInやFacebookで巧みにコンタクトしてくるらしいのですが、実は私も変なメッセージを受け取ったことがあります。私自身は機密事項にアクセスできる立場にはありません(平凡ないち小市民です)が、SNSのネットワーク上には”そういう人”がいないわけではありません。そのメッセージに対し、ちょっとした質問を返したところ、返事が返ってこなくなりました。

SNS上でのこう言った連絡が少し厄介なのは、共通の知り合いがいる人からメッセージが送られてきた場合、むげにできないところがあることです。そのメッセージも、親しい友人のネットワーク上にいる人でした。とはいえ、SNS上の繋がりというのは、必ずしも全ての人と深い付き合いがあるわけでもありません。メッセージで尋ねられたことは、大した内容ではなく、答えようと思えばすぐに答えることができたのですが、あえて質問を返してみました。

私程度の人間にも、ちょっと謎めいたコンタクトがあったのですから、”元”となると、どんな人が接近してくるのかわかりません。報道がどこまで本当なのか、わかりませんが、どうしたって普通の一般人にはなり得ないということをご理解いただき、国防のためにも、再考いただけたら・・・と、切に思う今日この頃です。

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