内田聖子氏が、水道民営化とTPP11のラチェット条項、ISDS条項の関係について解説。
2018年12月18日(火)、「緊急集会 TPP11発効・日欧EPA批准にNO! メガ自由貿易協定にどう立ち向かうか」が開催されました。
質疑応答の際、参加者の方が水道民営化(コンセッション方式)とTPP11のラチェット条項の関係について質問し、内田聖子 氏(特定非営利活動法人 アジア太平洋資料センター 代表理事)が回答しました。
文字起こしを下記に記載します。
■ 参加者の方の質問
年末にTPP11が発効するらしいんですけれども、実はちょっと、あの、Facebookで、あのー、その、「TPP11が発効すると、その中にあるラチェット条項によって、えー、今後、予想される、地方議会での、おー、民営化への賛成条例について、議場は、あの、賛成したら、えー、ラチェットで戻れないわけですから、再公営化っていうのは、できなくなるんだよ。」というような、そういう、何か■■■な、あのー、■■■がして、私もそれで、そのままビラに書いちゃったんだけれども、実際は、えー、ラチェット条項は、そういう、地方議会の決議にたい、ついて、有効なんでしょうか?どうなんでしょうか?ちょっと、そこら辺をお教え頂きたいんですが。
■ 内田聖子 氏(@uchidashoko / 特定非営利活動法人 アジア太平洋資料センター 代表理事)の回答
水道民営化、水道法案の改正に伴って、ラチェット、TPPラチェット条項があるので、えー、自治体で、まぁ、仮に、一旦、コンセッション契約をした後、元の再公営化できないんじゃないかと、まぁ、そういう、懸念がネット上で挙がっているのは、私も承知しております。
ただ、結論から言うと、再公営化できる・できないという話と、ラチェットに関しては、関係がありません。
で、ちょっと、それはですね、充分、分かって頂くためには、かなりの説明をしなきゃいけないので、ちょっと、困ったなと思ってるんですが、貿易協定の中には、投資やサービス章っていうのが、大体入っているんですね。
で、その時に、えー、基本、全部、自由化なんです。
つまり、外国企業を差別的にしてはいけない、えー、全開放なんです、この、特にTPPもそうですし、近年のメガ協定の中での、おー、投資・サービス章っていうのは、基本、全部、自由なんです。
ただし、それぞれの国には、えー、大概、その、守らなければいけない分野ってありますね、例えば、農産物の関税っていうのも、まぁ、あのー、サービスと違いますが、日本は、いくつかの品目守りますってことですね。
まぁ、必ず、その、全部、自由化から外したい内容っていうのがあるんです。
で、これをですね、えー、貿易協定の中では、えー、ネガティブ・リストという名前で、えー、留保します。
つまり、全自由化から、1回外します。
これは、あの、全部、投資家、自由とかですね、えー、市場アクセスが、あの、平等に対等に働く、そういうところじゃなくて、国内の、おー、えー、まぁ、あの、企業に対しですね、あるいは、国内の措置、えー、あるいは、あー、みんなの、おー、公衆衛生とかですね、まぁ、いろんな、健康とかですね、えー、そういうものだから、必要だ、全て外国投資家に開かないっていう形で保留します。
で、えー、その、おー、TPPの中では、サービス・投資の分野の、おー、ネガティブ・リストというのがありまして、その中で、日本は、まぁ、あのー、まぁ、2つあるんですけど、その、1つの方では、50個分の措置を留保しています。
あの、これは、全部、政府の、あの、TPP協定文の中に全部ありますので、皆さんも、もちろん見ることはできます。
で、その、留保したものの中、留保したものですね、で、これに関してラチェット条項というのが、適用されます。
・・・・・・と言っても、分からないですよね・・・・・・(苦笑)。
すみません、これ、本当に複雑で・・・・・・。
でですね、まぁ、直接、その、えー、水道法の再公営化っていう話っていうのは、この、留保事項の中に入っていませんので、えー、直接、その、ラチェット条項云々っていうのは、関係ありません。
ただ、唯一、えーっと、外国の水道会社が日本で活動したい時に、これは、あの、外為法なんかの規制なんですけども、まぁ、投資家として、日本に参入して来る時に、えー、一応、チェックが入ってます。
あのー、無闇矢鱈に外資入れないっていう、日本の規制は、一旦、守られるということになっています。
ただ、これも、再公営化するかどうかというのも、と、こととも、直接、関係ありません。
で、えー、結局ですね、その、再公営化できるかどうかという問題はですね、えー、水道法の今回の改正されたものの性格からしても難しい訳なんですが、今回の水道法の改正っていうのは、日本の津々浦々の自治体に全部に対して、必ずそのコンセッション契約というのをですね、えー、まぁ、私は、ほぼ民営化と思いますが、あの、そういうのを強いる法律では無いんです。
つまり、最終的に、自治体が選択できるというですね、あくまでも、あのー、自治体の判断っていうのが、一応、確保されてる訳ですね。
ですから、あの、今後、おー、まぁ、大阪とかですね、名古屋とかは、どんどんコンセッションやりますっていう風に言ってますが、まぁ、あの、色んな自治体が出てくるでしょう。
えー、政府が推奨するように、えー、企業と契約を、あ、運営権を企業に売却してですね、えー、いわゆる民営化にほぼ近い水道運営やっていく自治体は出てくると思います。
浜松では、既に下水道のコンセッションをやっています。
で、やったからといって、えー、その、おー、今、言ったように、その、ネガティブ・リストとの関係ですね、これに、あの、関係無い話なので、再公営化、あのー、するかどうかっていうのは。
しかも、その、法律では、一応、その、選べるということに、一応、なってますので、えー、仮に、この法律が、えー、全ての自治体が、あー、民営化をしなきゃいけないという風に決まっていればですね、えー、それを、再公営化するという場合はですね、えー、別の問題が出てきますけども、今の段階では、自治体の自由で、どっちも選べるということになっていますので、えー、仮に、その、30年の契約が終わった際に、じゃあ、もう1回、再公営化に戻すわという判断をしたりしたとしても、これは別に法的に問題ありません。
現状の法律に、何か、反して、それを選んだという訳ではないので。
で、それは、ラチェットも、特別、関係無いと思います。
ただ、事実上ですよ、法律の話はそうです、あの、貿易協定との関係ではそうです、ただ、事実上ですね、30年間の契約の後に、えー、自治体がですね、技術を失って、職員もいなくなってですね、実際上、現実、戻せるかっていうと、それは、相当、困難ではないかという風に思います。
ただ、一言言うと、世界では、再公営化の潮流というのがありまして、えー、これは、市民とか議員がですね、頑張って、その、企業の、あの、おー、酷い、料金が上がるとかですね、■■性が無いとか、そういう運営からですね、やっぱり、取り戻していくという実例がありますので、えー、まぁ、法的にもそれは可能です・・・・・・し、特に、ラチェ、ラチェットと関係あるという風には、私は思っていません。
1点あるとしたら、外国企業が関わっている場合に、ISDSで訴訟されるという、まぁ、ラチェットよりも、まぁ、もっと、あの、大きな障害ですけども、それはあります。
その意味で、私は、イギリスがこのTPPに入って来るんじゃないかと言われてますが、それは、割とISDSで、水のケースで訴訟されるという懸念は、高まっていくかなと思います。
ちょっと、ラチェットのことは本当に難しいので、どっかで私も書いたりもしようと思いますが、ちょっと、すみません。
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■ 『TPP11発効・日欧EPA批准にNO!メガ自由貿易協定にどう立ち向かうか』(特定非営利活動法人 アジア太平洋資料センター)
■ 『TPP協定(訳文)』(内閣官房 TPP等政府対策本部)
■ 『TPP協定(和文)』(外務省)
■ 『Text of the Trans-Pacific Partnership』(外務省)
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