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肉団子でバレること

昨日、久しぶりにBouletteを食べた。Bouletteというのは肉団子のことだ。この辺りでつなぎにパンを入れることが多いほかは、日本の肉団子と中身に大きな違いはないと思う。

ただ、ドイツ語圏では、下の地図のように、地域によって肉団子の呼び名が大きく異なる。これが思わぬ論争?になったりすることもあったりして面白い。

https://www.welt.de/kultur/article172063642/Sprache-und-Identitaet-Was-es-ueber-Sie-verraet-ob-Sie-Frikadelle-oder-Bulette-sagen.html

前にもこの話はどこかで書いたと思う。私は趣味でオーケストラに入ってるのだけど、練習の後はみんなで軽く飲みに行くことが多い。当時、私たちは練習場所近くのギリシャ料理屋さんでよく飲んでいた。

お腹の空き具合によっては、もちろん飲みながら軽く食べることもある。ギリシャにはケフテダキャという肉団子の料理があって、軽く飲むときのつまみには丁度いい。

当時、新しく仲間に加わったばかりのモニカも、このケフテダキャを頼んだ。でも、ひとりで食べるには少し量が多いので、誰かにお裾分けしようと思ってテーブルのみんなに大きな声で尋ねた。

「このFrikadelle、誰か食べない?」

しかし、ここはベルリンである。ここで肉団子をBouletteと呼ばなければ、余所者とすぐにバレる。

「Frikadelleだって?!」
「モニカ、君は一体どこの出身なんだい?」

そこから話題はモニカの出身地に変わってしまった。モニカはラインラントで育ったこと、そして実は両親はポーランド人で彼女もポーランドで生まれたことまで話すことになってしまった。

当然、オーケストラでは出身地でどうこうということはないし、彼女自身も隠している話ではなかったので問題は何もなく、みんなで笑って話は終わった。

でも、時代によっては、こんなふとした発言で素性がバレて、まずいことになったりしたのだろうか。東西が分断されていた頃のことを想像すると、恐ろしく感じる。

肉団子を食べながらそんなことを考えた。

(トップの画像はフリー素材で見つけたもの。飾り気のなさがいかにもドイツっぽい感じで…笑 というか、本当にこんな感じでよく盛りつけられてます)

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