240309【Liverpool - Leicester City】
WOMEN'S FA CUP 準々決勝@Prenton Park
0-2(0-1,0-1)
「快勝でしたね」みたいなコメントを見かけたので、レスターが終始ペースを握っていたのかと思いきや、まったく逆やないか。
リバプールの即時奪還を狙った攻撃から守備への切り替えによって、レスターは全然ボールをつなげなかった。決定機の数もリバプールの方が多かったのに関わらず、結果的に裏返しのボールが功を奏して少ないチャンスを生かしたレスターが2点を奪い、2枚替え以降は安定した戦いを披露。クラブ史上初の準決勝進出を果たした。
レスターもリバプールも前から奪いにいくし、後ろからつないで前進できるチームだが、シンプルな攻撃に強みを持っているのはリバプールで、かつレスターの左サイドバックはボール保持時にボランチ化するパターンなので、サイドへ蹴り返されて圧倒的にレスターが不利を被っていた。開始2分のGKのお手玉が失点につながっていたら、などなど、いわゆるたらればの多い試合だったと思う。
レスターの先制シーンは逆に裏返した形で、中盤ペルガンダー(Emilia Pelgander)のパスに抜け出したジャニス・ケイマン(Janice Cayman)がシュート、右ポストに跳ね返ったボールをランタラ(Jutta Rantala)が拾って蹴り込んだ。
リバプールも23分にエンダービー(Mia Enderby)が、35分にも相手GKのプレゼントパスからヘビンガー(Marie Höbinger)が超絶な絶好機を迎えたけれど、こちらはポストの跳ね返りに詰める味方がおらず。というか、これ決めておかないといけないやつ……。
レスターとしたら本当にいいところがなかったような展開で、とにかくボールを持って考える時間を与えてもらえなかった。その中で53分に宝田が見せた、相手をハンドオフしながらのボールキープからサイドを使ったシーンは、現地での評価が高いことを示すプレーだったなと。
少しずつ蹴らせる人、場所を限定し始めたレスターは、リバプール最後方からのビルドアップを牽制し、GKに蹴らせてピッチ中央で宝田が空中戦勝ちで跳ね返し、ウィーラン(Aileen Whelan)が収めてランタラを使ってきっちり追加点を挙げる。
その後は68分に両チームが2枚を変えたけれど、籾木とペーターマン(Lena Petermann)が顔の出し方がうまく、以降はレスターのテンポのまま、逃げ切りに成功した。もみさんにもチャンスがあったので、本人的には1つ欲しかったかもしれない。
リバプールは長野がケガで不在だったけれど、チャンスも多く作っていたし、プレッシングも効いていたので、影響があったかと問われれば、この試合に関してはそうでもないような気もする。だけど、3バックがクサビを潰しに出た時にカバーする動きや、フリーでパスを受けるための事前準備など(ルンドガード/Sofie Lundgaardは結局マークを連れたまま受けることになってしまう)、いる時の方が滑らかさを感じるのは確か。
もしかしたらチャンスを作ったシーンでも、全体が推し上がっていてセカンドボールに反応できる、もしくはラストパスを受けられる違った選手がいた、のかもしれない。
リバプールでの長野は6番タイプなので、代表のポジションと合致していない。これは長谷川もそうなんだけど、4-3-3になったときには、どちらかが8番ぽくなって熊谷とサイドの近くにいて欲しいのに、2人とも10番やっちゃうから熊谷が捕まっているように見えちゃうし、センターバックから縦に付けるパスコースがなくなる。だからなんとかダイジェストTVで不要論を説いている人がいたけれど、ポイントはそこではないんだよ。
池田太監督は3枚がはまらなかったときのための4枚と考えているので、逆を考えればDPR KOREA戦のように、4枚がはまらなかったら3枚にするプランは持っていて、この前は2試合あったからあえて第1戦では温存したけれど、これが1試合勝負だったら後半から3枚に変更していたはず。で、その時に3の真ん中と4のアンカーを兼任できる人材が、今のなでしこにどれだけいるのか。長野や長谷川はチームでアンカーをやっているけれど、リベロに組み込むのは怖いでしょう。谷川萌々子を推す声も多いけれど、個人的には谷川こそ得点力があるのだからインサイドハーフに置くべきだと思う。
でも池田監督がアンカーに置いていること考えると、おそらくは長いボールを蹴られた時に、ここで跳ね返せる高さのある選手が欲しいんだと思う。そういう意味では宝田は十分候補になりうる気がする。
宝田も3の真ん中でプレーしているのは見たことないけれど、4のセンターバック2枚や3の脇では一定のキャリアがあるし(左サイドバック?なんのことかな)、もともとFWだからいざってときはパワープレー要因にもできる。高橋はなとの2トップでいいんじゃないかな。
凄まじく横道に逸れてしまったけれど、今のレスターの中で、すなわちWSLの中で、宝田も籾木も輝きを放ちまくっているという事実は、代表に呼ぶ呼ばないは別として、具体性を伴ってもっと多くの人が知っておくべきではないかなと思う。