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241201 皇后杯3回戦【神奈川大学-スフィーダ世田谷FC】【伊賀FCくノ一三重-ASハリマアルビオン】

皇后杯 JFA 第46回全日本女子サッカー選手権大会3回戦@三重交通Gスポーツの杜鈴鹿 サッカー・ラグビー場

追い掛けるチームが攻め込み続け、リードしている側が必至に守る展開は会場が熱くなる。最後の最後で追い付いてさらに沸き、追い付かれた側も諦めずにもう一度ねじを巻いたから、PK戦に入る直前には両チームへポジティブな声援が送られたし、試合後の拍手も大きかった。


第1試合 
神奈川大学 vs スフィーダ世田谷FC

神奈川大学 vs スフィーダ世田谷FC
0-2(0-1, 0-1)

記録

両チームとも前線にターゲットとなる選手がいるけれど、スフィーダの方がその個でも一回り上だったし、どのようにしてそこを使うか、あるいはその消し方や周囲の選手を含めた総合力という意味でも妥当な結果だったのではないだろうか。

フリックする側ではなく、FKのフリックから抜け出す側となった堀江美月が先制点を奪取。スフィーダは神大のキーマン・鈴木杏梨を、田口茉亜紗と戸田歩で徹底的にサンド。ターゲットが明確なので、こぼれ球やカバーの予測も立てやすく、セカンドボールをことごとく回収して主導権を握り続けた。

スタートフォメ

もちろん、鈴木杏梨が落とし勝てれば、右から江藤里桜奈の突破へとつなげるシーンも作れたけれど、仮に上げられてもオーライリー詩奈も鈴木杏梨もボックス内での自由がなく、シュートの形で終われない。神大が若干攻勢に出た時間もあるけれど、神川監督も選手もうまくいっていない時間帯だと感じていたので、守備の集中力が落ちることはなかった。ヒールパスからの藤原愛里の巻きシューが右隅へ流し込めていれば、より最高の前半だった。

後半早々に荒川結乃花の脳震盪疑い交代という予期せぬアクシデントの中で、2枚替えをした神大2人が浮くポジション取りをしたことが奏功。反撃の糸口をつかめるか否かといったタイミングで、スフィーダの方がCKから戸田歩が大きな一発を沈め、最終盤にFKであわやの場面を作られながらも、監督就任100試合目の節目をクリーンシートで締め括った。

センターバックながらもインターセプトからの攻撃参加を度々見せた4番は、空中戦や裏抜けで相手に狙われながらも我慢し、値千金の追加点。よくがんばったと思う。

新堀華波は胸コントロールに複数のパターンを持っているようで、角度の付け方や足下への落とし方とかあらためてうまいなと。金子麻優に出したスルーパスも絶妙だった。

荒川のロングスローは自陣から脱出する手としても有効なだけに、状態が気がかり。先発や交代もかなり固定されているので。

第2試合 
伊賀FCくノ一三重 vs ASハリマアルビオン

伊賀FCくノ一三重 vs ASハリマアルビオン
1-1(0-1, 1-0, EX 0-0, 0-0, PK5-3)

記録

小川志保や下條彩といった"顔"が今季限りでチームを去ることが発表されている伊賀と、シーズン中に2度の監督交代という苦境を乗り越え、首の皮一枚で1部残留を決めたハリマ。エンド変更からの風上スタートとなった伊賀は、序盤、中長距離でもバシバシと狙っていき、神谷千菜を狙った裏へのボールも含めて超攻勢だった。

ハリマはSHの左右を入れ替えて2列目に蓋。伊賀がつなぎを意識し始めた分、ゴールへ直接向かわなくなったので怖さが減少し、我慢し切って少ない好機を生かして試合を動かした。左奥の背後を取ったフィードも見事だったし、抜けてからカットバックの選択をした正野可菜子はさすが。もちろん決めた川﨑咲耶は言うまでもない。

すぐすぐ長いボールを蹴らないのは菅野監督らしいチーム作りで、川﨑と正野、千葉が降りる・抜けるの良関係を作っていたので、伊賀としてはオフサイドにもかけにくかったように思う。

スタートフォメ

ハリマの後半2本のシュートはいずれもバーという悩ましさで、伊賀も60分過ぎくらいからずっと攻勢が続きながら追い付けず。3バックへの変更でさらに攻勢を強め、後半ATのCKではGKも上がっていくと、その姿勢が他選手にも伝播したか、直後の左クロスから一山超えて神谷のヘディングで伊賀がついに追い付いた。

延長戦も流れのまま攻勢だった伊賀。2点目こそ遠かったものの、ハリマはPK戦でも枠に嫌われ、5人全員が成功した伊賀が4回戦進出を決めた。

「PK戦で次戦進出チームを決定する」というアナウンスがとても気に入っている。公式プログラムの実施要項には「勝敗を決める」と記載されているけれど、厳密には引き分け扱いなので、この言い回しはとても好感が持てる。

伊賀は本拠地なので(普段は上野だけれど)もう少しメディアが来るのかなと思ったけれど、昨日の名古屋の方が多かった(この日のカメラは第1試合が2人、第2試合が5人)。

5人目のキッカーとなったノ・ヘヨンは、勝負を決めたPK後、走り出しての喜び大爆発ではなく、力強いガッツポーズを決めた。かっこよかった。

放り込み、とは言わないまでも、もっとシンプルに神谷・西川明花を使う方が、伊賀としては得点の可能性は上がったのではないかと思う。ハリマ側としてもその方が嫌だったのではないかな。

正野さんは菅野さんの下で活きているように見えたし、國生乃愛はやはりいい左をもっている。川﨑含めてもっと引き出せるものはありそうな気がするんだけどな……。

余談

現地で2日間見ている人や、記録用紙をたしなむ人は気づいていると思うけれど、審判団も連戦なんだよね。結構大変だと思う。山内さんのコラムがあるので紹介しておこう。

余談2

会場アクセスはコミュニティバスが1時間に1本あるかないか、という立地だが、最寄りバス停と会場をつなぐマイクロバスもあってありがたかった。ただ、バス停が田畑のど真ん中なので、時間通りにバスが来ないと若干不安になる。でも、空の広さは美しかった。

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