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240510【オーストラリア-日本】GS突破、育成の土壌にはまだ差がある

AFC U17女子アジアカップ インドネシア2024
グループステージ グループB 第2戦
U-17オーストラリア女子代表 vs U-17日本女子代表
@Kapten I Wayan Dipta Stadium /インドネシア
1-4(0-2, 1-2)

序盤の2得点が趨勢を決めた。”ももサロ”こと佐藤ももサロワンウエキの2発により、開始10分でリードを広げた日本は、初戦とは異なり硬さの取れたリラックスした状態でスムーズなボール回しも相まって主導権を掌握。後半にオーストラリア負傷タイミングの隙を突いて眞城美春が追加点を奪い、平川陽菜にもゴラッソが生まれた。中継でも拾われた「試合の締め方」に関しては、CKをやり切ったのにも関わらず、あの状況を招いてしまったことを反省しなければならないが、グループステージや点差のあるタイミングのうちに経験できたと、プラス方向に捉えて今後への糧とすればいいのではないかと思う。

記録

太田美月から佐藤の大商学園ラインでスケールを感じる先制点を取った日本。インパクトでは劣るかもしれないが、2点目が個人的には好きで、相手のサイドバックを連係で剥がし、センターバックを釣り出してのグラウンダークロス。菊地花奈の折り返すタイミングやコースは絶妙だったし、相手CBがずれた時点で佐藤がファーへ逃げた動きも見逃せない。

守備側対応としては逆サイドのサイドバックに絞ってもらうか、2-2で守るなら対応に出たCBが抜かれないことを大前提に、GK含めてどの折り返しを切るかという判断になるのだろうか。

クロスバーに嫌われた16分の菊地や、FKからの33分の本多桃華など、前半のうちに3点目以降を取るチャンスもあったけれど、決めておいた方がいいという思いと、2点差でも少し緩むのならば、僅差のまま推移した方がピリっとした試合をできるのかもという、2つの考えが頭をよぎる。後半頭に菊地が左ポケットをえぐったシーンも、ゴールの可能性が高そうなのは下での折り返しだったと思う。とはいえ、自ら狙った選択も肯定してあげたい。

3点目は相手が負傷で1人少なかったので、オーストラリアにとっては不運と言えば不運だし、監督が抗議して警告を受けた気持ちも分かるけれど、プレー続行不可能だと断定できる前や、治療中にある程度準備をしておけば、もっとスムーズに交代はできたのではないか。担架に乗せる前に出場できる体制を整えておきたかった。

平川のミドルは本当にお見事。視界が開けた状態なら十分選択肢と持てる位置だと思うけれど、反転からに近く、視線も下がり気味だった中であの判断をした理由をぜひとも聞いてみたい。見えていたのか、GKのファンブル癖を意識していたのか、コースそのものは若干甘かったとはいえ、立ち位置を前に取っている分、育成年代のGKにとってはミドルが結構脅威だったりする。

組織的なサッカーが特徴的だと言われる日本女子だけど、この代表でいえば両サイドハーフは出場した全員が自分で仕掛けていける選手だし、津田愛乃音やCBを含めて高さのある選手も揃ってきて、個でも強みを持ちつつある。ここに欧州から個人戦術という概念(一対一ではなく、自分を中心としたスモールエリアでの戦い方)が加われば、明るい未来が待っていると思う。昔はメニーナ、浦和レディースユース、JFAアカデミー福島くらいだったのが、今はノジマのドゥーエに加えて仙台レディースユースも力を付けてきて、裾野は広がっている。

日本に圧倒的に足りていないのはメディア側の知識と体力や育成力で、サッカー専門を謳う媒体ですら女子サッカーの発信力や取材力に乏しいことや、発信量が少ないだけなのに勝手に需要が少ないと誤解していること。もちろんJ1に太刀打ちできるかと言われればそれは難しいと思うけれど、潜在需要があるのは疑いようがない。チームや協会といった各公式の発信努力はこの1年で上がっているので、それに追従するだけでもこたつ記事よりは様になる。悪口ばかり言っていると怒られちゃうかな。

明日は中国との全勝対決。DPR Koreaが圧倒的に強いから欲を言えば首位通過して決勝での対戦が望ましいけれど、どのタイミングで当たってもあまり変わらない気もする。白井貞義監督が勝ちにこだわるのか、選手の成長を促すのか、ノックアウトステージや先を見据えたメンバー編成をするのか、マネジメントに注目が集まる。


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