220731【イングランド-ドイツ】初のメジャータイトル
Women’s Euro 2022 Final @ Wembley Stadium-London
2-1(0-0, 1-1, 0-0, 1-0)
前回大会はオランダを率いて優勝したヴィーフマン監督が今度はイングランドで優勝だぜ?投入選手が結果を残すし、女子界ではトップクラスなのでは、クライフと同じく協会敷地内に銅像もあるし。
先制点のTooneでも決勝点のKellyでもなく、中盤で効果的にボールを散らしたWalshがPotMに選ばれるあたり、文化の熟成を感じる。
イングランドが決勝まで来た時点で優位な状況だったが、加えてウォーミングアップ中にPoppが負傷したことがドイツにとっては誤算だったと思う。最多8回の優勝を手にしながら、近年はトップの成績を残せなかったドイツも、OberdorfやGwinnのような若手を根気よく使い続けて、フランスを倒した時には再び世界トップ復活かと思った。Brandなんてまだ19歳だし。
アウェイの中でもCKから惜しい場面を作った前半のドイツと比べて、アフタータックルが続いてイングランドが早めに警告を複数もらったので、もしやもあると思わせつつ、右ポケットの攻略からWhiteがビッグチャンスを迎えるなど、どちらにも転ぶ可能性のあったスコアレスの前半だった。
後半もドイツが裏を取るシーンが増えてきた中で、Meadの治療でやや間が空いたことがイングランドには奏功したかもしれない。すぐ後にWalshが一本のパスで裏を狙い、途中交代のToone。Russoもバイタルに顔を出して縦パスを引き出す回数が多く、際だっていたと思う。
2枚に囲まれても突破しようとするHempを含めて、ワイドの突破力はイングランドに分があった。でも、ドイツもSBの裏を狙う意図はそれなりにはまっていたと思う。直前の崩しと、Magullのシュートはお見事。Lohmannも攻撃に変化を加えたけれど、結果的に勝負を決めたのはウイング力だった。
延長戦の勝ち越しゴールはCKからだけど、それを取ったのはKelly自身の突破。その前のスローインからずっと観客を煽ってもいた。決めた後にユニフォームを脱ぎかけて、副審のフラッグステイズダウンを確認してから結局脱ぐっていう段取りにちょっと吹き出してしまった。あぁいうのって勢いじゃないだ!って。確かにFWとしてオンサイドを確認するのは必須だけれども。
イングランドは最終盤、残り5分ある中で時間を使いにいった。少し早すぎやしないかとは思ったけれど、結果的にはずっと右角あたりでマイボールアウトを継続できていたので、任務完遂といったところか。同じようなことをしようとしてあっさりと相手ボールにしてしまうチームは多いが、キープの仕方や当てだし含めて、これも会得しておくべき戦術である。
Wiegmanはオランダではアンカー1枚を採用し、就任前のイングランドも同じ形だったけれど、W杯予選やアーノルド・クラーク・カップでもずっと2ボランチ(ちなみにオランダも2ボランチになった)。これでCBから見えやすい位置にパスコースが増えてビルドアップ力が向上し、攻めた後にひっくり返されるリスクも軽減された。最終的にウイングや外で勝負させるまではバッチリで、後は手薄になった中の枚数をどうカバーするかだったけれど、端的にウイング自身が点を取れれば問題はないし、セットプレー取って強さのあるCBに勝負させてもいい。あとは、そのウイングが封じられたり、決定力が落ちたりしたときに、元来得点を求められているCFや、2列目3列目が点に絡めるかという点で、まだ伸びしろはある。White、Russo、England以上に、Miedemaのような存在が出てきたら超怖い。でもそれはどの国も欲しがる稀有な人材か。
組織力が上がって強引さが減った分だけ、事故のような展開は少なくなりそうな風潮はある。ただ、全盛期のVan De Sandenや今のDianiみたいに、段違いの突破力をぶんぶん振り回すタイプがいないかと言えばそうでもなく、どの国もワイドアタッカーは個で剥がす力を持つことが大前提(タイプはいろいろいるけれど)。その力を出しやすい状況をチームでどう作るか、あるいは優先度の違いなどで、先進各国の特色みたいなものが出ているのかなと感じる。
海外の記者は表現が面白い。同点に追い付かれて、(優勝まで)さらに30分待たされることになったわけだけれど、38年(女子ユーロが初開催されてからイングランドの初優勝)も待ったのだから、もう30分くらいね。だって。