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【 エッセイ 】 アタラシイオレ


なかなかこまったことになった
なにがそんなにこまったか


顔のこと
である


本当に
昨日も今日も
俺は俺で
同じ顔なのだが
しかしそれがどうも
同じじゃなくなってきたらしい

造形の話ではない
と思うのだ
しかし
造形自体違うんじゃないかと思うくらいに
日々
受ける印象が違うのだ
自分の顔を見たときに

これはどういうことか考えた
考えたがわからなかった
しかし毎日自分の顔を見つづけて
だんだんわかってきた気がする


ようするに
こういうことなのだ


俺は
なにかを一生懸命やっている人が好きだ
やっていることはなんでもいいのだが
とにかくそういう人が好きなのだ

それは言いかえれば
自分にないものを持っている人に惹かれる
という感じに近かったはずだ

ようするに
自分を棚に上げた
他人に対する評価の基準だったのだ
以前は


それがどうも違ってきた


どういう理由かはわからないが
俺の中のそういう目が
どうやら今は
自分自身に注がれている

それで俺は基本的に怠け者であるから
俺はそういう自分が嫌いで
醜いと思う

醜い自分は嫌なので
少しやるべきことをやり始める

そうすると
見事に顔が
復活してくる
という仕組みだ


別に困ることもなかろう
と思われるかもしれないが
これが困るのだ

元来俺は怠け者で
ぐうたらするのがなにより好きなのに
この新しい目の監視によって
気持ちの良いぐうたらが
できなくなってしまっている

ぐうたらすなわち
自分の醜さ
という回路が
作る気もないのに
着々とできていく

そう
ようするに

誰も見ていなくても

俺が
俺を見てる
ってことで


これが新しい俺
ってことなのだろう



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