北京ドタバタ旅行(55)
さらに郊外に行く足の問題がありました。電車もバスも使えません。いろいろ検討していると、旅行会社の叶琳さんが格安でタクシーのチャーターを申し出てくれました。そんなわけで、運転手付きの大型自動車で、今日1日観光地を回ると言うことになりました。
朝は例によって冰咖啡を飲んでいると、約束の9時きっかりにガイドと運転手がホテルにやってきました。車はライトグリーンの2000CCのサンタナです。運転手はどういうのでしょうか、厳ついというのか、でかいというのか、巨体の運転手で、太い腕をしています。
実はこの運転手は、旅行会社の叶琳さんが、私のために特別に人選して、屈強な運転手を選んでくれたのだと言うことを、彼女の口から後で聞きました。さらに部屋を代わる際も、差額が発生し、なにがしかのお金を払う必要があったのを、この叶琳さんがホテルと掛け合い、同じ料金にしてくれたのです。
そういう配慮を受けながら、我々親子3名は、ライトグリーンのサンタナに乗り込みました。運転手は軽々と私を助手席に移し替えました。タクシーを1日貸しきって観光に行くという贅沢は日本では無理です。何と言っても中国だから出来たのです。
おまけに我が家は専属のガイド付きです。私たちの場合、この専属のガイドと車を1日わずか1万円よりはるかに安くで借りることが出来たのです。もちろんそれは、年金生活者である我が家の実状を知った旅行会社の叶琳さんという人の好意でした。
サンタナは北京市内を走っていますと、いろいろな漢字の看板が目に入ります。加油站というのが目に入ります。その時までに「加油」というのは、日本語で「がんばれ!」という意味だということは知っていました。さらに站というのが日本語の「駅」に相当することも知っていました。そうしますと、私の知識ではこの看板は「がんばれ駅」という意味になります。
初めてこの看板を道路脇に発見したときには、きっと共産党主導で駅の名前をこういう風にしたのだろうか、いや、みんなで頑張ろうと住民一同で駅の名前を付けたのだろうとか思い
「ああ、やっぱり中国だなぁ」
などと感心していたのですが、同じ名前の「がんばれ駅」がたびたび出てくる頃になって、どうもこれは「がんばれ駅」ではないなという事に気が付きました。
どうも中途半端に中国語を知っているとこう言うことが起こるようです。なにも知らない人なら
「ああ、なにか油関係の場所だな」
と察しが付こうというものです。この「がんばれ駅」というのは、実はガソリンスタンドなのでした。比較的想像力豊かな私は、自分の勘違いを膨らませて、1人感心したり、驚いたりしていました。
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