跳ね橋問題
大学生のときに雑談で教えてもらったもので、トロッコ問題のような、盛り上がりそうな話がある。跳ね橋問題だ。
登場人物は男爵、男爵夫人、門番、船頭、友達、恋人の6人である。
男爵は嫉妬深い人で、遠くの領地を訪問するとき、男爵夫人に「私がいない間、この城から出るな。もし出て行ったら、戻ってきた時に罰を与える」ときつく警告を行って外出した。
しかし、しばらく経って、男爵夫人は寂しくなり、恋人に会いに行くことにした。しかし、城は島のような場所にあり、そこから出るには川を渡っていかなければならない。跳ね橋がその島と本土を繋いでいる。男爵夫人は自分が男爵より先に帰るだろうと思い、執事に橋を下げさせて、自分が戻るまでそのままにしておくように命じた。数時間の間彼女は恋人と過ごし、跳ね橋に戻ると、門番がナイフを持って男爵夫人を待ち構えていた。男爵は門番に、「夫人が跳ね橋を渡ろうとしたら殺せ」と命じていたのである。
怖くなった夫人は、恋人の元へ戻って助けを求めたが、恋人はロマンチックな恋愛だけをしたいだけなんだ、と助けることを断ってしまった。
そこで、夫人は川にいる船頭に自分の状況を説明して、川を渡ってもらおうとした。船頭は「料金を支払ってくれたらそうするよ」と言ったが、夫人はお金を持っていなかった。
そこで夫人は友達に泣きついて、船賃をもらおうとした。しかし、友達はお金を貸すことを断った。
夜明けが近づき、夫人は絶望の中跳ね橋を渡ろうとして、門番に殺されてしまった。
このような話だ。そして、誰が男爵夫人の死について責任があるかという話だ。
私は、責任がある順番に、男爵、門番、男爵夫人、友達、恋人、船頭かなと思う。
男爵はこの中でルールを作って命令する立場である。殺すように命令した人が実行する人よりも責任がある(=悪い?)と私は思う。
そして、その次が実行した門番だ。命令に従っただけだが、男爵がその場で見ているわけでもないので、殺さないこともできたのではないか、と思う。
結構悩むのだが、3番目は男爵夫人だ。この人はルールを破った人だが、そもそものルールが厳しすぎると思う。しかし最後明け方に跳ね橋を渡るところが判断ミス(=責任がある?)なんじゃないかと感じる。殺されることが見通せていたのにそれをやったということで、責任があるのではないかと感じる。
4番目は友達、5番目は恋人だ。友達が頼まれたことは、お金を渡すことだけで、恋人はおそらく一時的にではなくその後もずっと夫人を助け続けることであると思う。その場合、友達が夫人を助けるのはあまり大変ではない。しかし、恋人が夫人を助けるのは負担が大きい。関係が既にできていて、殺されそうな友達に比較的簡単にできる援助をしないのは冷たいように感じるので、恋人より友達のほうがよくないと思う。ただ、加害したわけでなく関わらなかっただけなので男爵や門番より低い。
最後が船頭だ。仕事をしているだけで、お金がなかったら助けないのは冷たいと思うが、個人的な関係がないので、友人や恋人より下であると思う。
人によってかなり順番が違うようで、私の友人は1番責任があるのは男爵夫人、その次に男爵、船頭、恋人、友人、門番のような順番(だったと思う)で驚いた。この人にとってはルールを守っているかと選択肢があるかということが重要らしい。
他の友人は、順番に、男爵、門番、恋人、友人、船頭、男爵夫人だった。この人は夫人は被害者で、対人関係の義理みたいなところを重視しているのかなと思う。
あなたはどう感じただろうか。話し合ってみると、相手が何を重視しているか気づくきっかけになるかもしれない。