火災と乾燥注意報、火災気象通報

nooooon

2022年2月24日 19:21

こんばんは、nooooon（@nooooon_met）です。

昨日、埼玉県熊谷市の利根川の河川敷で火事が発生したそうです。

この記事の最後に、下記のような記述があります。

火事の原因はわかっていませんが、出火当時、熊谷市には乾燥注意報が出ていました。

（※1）

乾燥注意報

テレビ等の天気予報で、「空気が乾燥しているので、火の取り扱いに注意してください。」という言葉を耳にすることがあるかと思いますが、これは乾燥注意報が発表されていることを意味しているのだと思います。

この乾燥注意報は、気象庁が発表している16種類の気象等の注意報のうちのひとつで、火災が発生する危険が大きいと予想されるときに発表される注意報です。

乾燥注意報は、空気の乾燥により災害が発生するおそれがあると予想したときに発表します。具体的には、大気の乾燥により火災・延焼等が発生する危険が大きい気象条件を予想した場合に発表します。

（※2）

熊谷市での乾燥注意報の発表基準は「最小湿度25％、実効湿度55％」。

https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kijun/saitama/kijun_1120200.pdf

実際、昨日のアメダス熊谷での最小湿度は22％だったようで、前者の基準は満たしされていました。

また、ここ数日は平均湿度も低めな日が多かったようなので、後者の基準も満たされていたのではないかと思います（ちゃんと算出していないので、真偽は明確ではありませんが・・・）。

ちなみに、「実効湿度」は聞きなれない言葉だと思いますが、予報用語としては下記のとおり定義されており、

木材の乾燥の程度を表す指数で、数日前からの湿度を考慮に入れて計算する。実効湿度が50～60%以下になると火災の危険性が高まる。

（※3）

下記ページで、もう少し詳しく解説されています。

火災気象通報

実は、乾燥注意報以外に、気象状況の予想を基にして行われる火災防止に資する通報があります。それは、消防法で規定されている「火災気象通報」です。

この通報は、

気象の状況が火災の予防上危険と認められるときに都道府県知事に対して行われる通報で、市町村長が発令する火災警報の基礎となる

（※4）

もので、乾燥注意報や強風注意報と同様の基準を設けて運用されています（ただし、降水が予想される場合などには、通報されないこともあるようです）。

※もともとは火災気象通報独自の基準を設けて運用されていましたが、平成28年12月に発生した新潟県糸魚川市の大規模火災を踏まえた検討会がきっかけで、上記のような運用に変更されました。
　https://www.fdma.go.jp/laws/tutatsu/items/310208_syo34_kigyo197.pdf

前述したアメダス熊谷の観測データを見てみると、今回の火災が発生した時間帯はそれほど風が強くなかった（強風注意報基準である平均風速11m/sよりは弱かった）ようです。もちろん、あくまで観測地点での風速なので、河川敷付近はもう少し風が強かった可能性もありますが、延焼による被害はまだ抑えられた方だったのかな・・・というふうに考えられます。

熊谷市では、まだあと数日は乾燥注意報が発表され続けるような予想となっています。