大雨と『危険度分布』
こんばんは、nooooon(@nooooon_met)です。
今日は1日、本州付近を横たわるように梅雨前線がのびて停滞し続けていました。
※1
衛星画像を見ても、前線に対応するような雲域が西南西~東北東へしっかりとのびてるのが分かります(余談ですが、中国東北区やオホーツク海の低気圧に対応した渦も素敵)。
※2
最近は関東地方のことばかり書いてきたんですが、今日は古巣(3月まで居た)の島根県に目を向けてみると、発達した雨雲がかかって朝には非常に激しい雨(1時間降水量50ミリ以上。図では赤色。)が降ったと解析されてました。
※3
そんなこんなで大雨が降っていたのですが、ここで、気象庁が発表している3種類の『危険度分布』を見てみます。図は凡例抜きになっちゃいましたが、黄色が注意報級、赤色が警報級っていうことを踏まえてご覧ください。
あと、雨が強く降っていたのは昼過ぎ(12時~15時)までで、18時にはほぼやんできてたってことも大事なところ。
1.大雨警報(土砂災害)の危険度分布
※4
島根県内、赤色の領域は15時過ぎまで出ていましたが、何より特徴的なのは、雨がやみつつある18時になっても広い範囲で注意報級の状況が続いていたこと。
なぜこんなふうになるのかというと、この危険度分布では、地面のなかに含まれている水分の量が考慮されているからです。すでに雨がやんでいても、それまでにたくさんの雨が降っていたりすると、土砂災害が発生する可能性が高まっているために大雨警報が発表され続けたりします。「もう晴れてるやん!なんで警報(注意報)出てんの!?」ってときは、土砂災害に関わる大雨警報(注意報)であることが多いです。
※参考→https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq10.html
2.大雨警報(浸水害)の危険度分布
※5
大雨警報の危険度分布には、土砂災害以外に、浸水害に関するものもあります。こちらは短時間強雨による浸水害発生の危険度の高まりを表していて、たいてい、雨がやむとすんなりと危険度が低下していきます。今回もそうですね。
3.洪水警報の危険度分布
※6
そして最後に洪水警報の危険度分布。今回見ていて一番興味深い変化を示していたのがこちら。雨がやむにつれて、上流から下流へ危険度が低下していったところが、1つ目のポイント。
2つ目のポイントは、雨がほぼやんだ18時台になってから、斐伊川が黄色くなったことです。この斐伊川は大河川でして、『指定河川洪水予報』という洪水の予報が行われる川とされています。黄色くなったのは氾濫注意情報が発表されたからで、発表文を読んでみると、「今後、水位はさらに上昇する見込み」とのひと言が。
※7
実際に水位の変化を見てみると、雨が弱まってからも水位が高まり続け、18時ごろをピークにしてその後低下していくという状況だったことが分かります。
※8
このような水位の変化、思いあたる節がないでしょうか?
昨年10月に関東地方を通過した『令和元年東日本台風(台風第19号)』によって、広い範囲で河川の氾濫が発生しましたが、このときも大雨と時間差で水位があがって災害が発生していたと思います。
洪水は大雨から少し時間がたってから災害が発生する恐れがあるということも頭に入れておく必要があると考えてますが、今日はあらためてそのことを思い出させられました。
※ちなみに、国土交通省が『 ”気象”×”水害・土砂災害”情報マルチモニタ』というページを開設していて、悪天時は参考になるんじゃないかと思いますので、ご紹介。
そんな、今日このごろ
※画像はほぼ気象庁HP(8のみ国土交通省HP)から
2→http://www.jma.go.jp/jp/gms/large.html?area=0&element=0&
3→https://www.jma.go.jp/jp/kaikotan/
4→https://www.jma.go.jp/jp/doshamesh/index.html
5→https://www.jma.go.jp/jp/suigaimesh/inund.html
6→https://www.jma.go.jp/jp/suigaimesh/flood.html
7:令和2年06月13日18時00分、出雲河川事務所 松江地方気象台 共同発表、『斐伊川氾濫注意情報』→https://www.jma.go.jp/jp/flood/107.html
8:国土交通省 川の防災情報ホームページ→https://www.river.go.jp/kawabou/ipSuiiKobetu.do?obsrvId=2230300400015&gamenId=01-1003&stgGrpKind=survForeKjExpl&fldCtlParty=no&fvrt=yes