人間味
人間味とは。
らしい。
人間らしさとは、情味とは、考えるとよくわからない。よくわからないからだろう。
「人間っぽくないですね…」
そんな言葉をかけられてしまうのだろう。
その人は悲しそうな、不思議そうな、そんな顔でそう言ってきた。
そもそも、顔を合わせた時からなんとも言い難い感情を抱いているであろう表情で、私の方を見ていた。
本来なら、なんだこの人はと怒りすら覚えるであろう状況で、私はなぜか、落ち着いていた。
その人は、次に私を表現する時、「入れ物」と言い出した。
「入れ物」
人間味とは程遠い位置にあるような言葉がでる。あの人には私は何に見えているのだろう。
その後は特に何かあったわけではないが、その人は終始、私の少し上を見つめていた。