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「知られる」の分解と広報のふるまい

広報に大きく期待されている仕事として、「(誰かに自社を)知られる」があると思うが、ここは意外と複雑なのにあまり分解して話されている印象がないように感じる。今回のnoteにてあらためて整理する。


【1】新しい方に「認知」される

こちらについては、広報という仕事をあまりご存じない方でも広報職への期待として持っている印象がある。
「知られなかったら、ないのと同じ」という言葉も聞くぐらいなので大変重要なことではある。インターネットがあって、スマホがあって、誰でも発信できて、情報に溢れすぎている時代だからなおさら。

ただし、前から度々noteで申し上げている通りただ知られればいいというわけでもないので(犯罪などで有名になっても仕方がない、そうなると、せっかく知られたのに事業への期待は限りなく低くなるだろう)、「知られ方は重要である」ということをひとまずは覚えていただきたい。


【2】すでに一部を知っていただいている方に深く「理解」される

今回お伝えしたいのは、こちらの側面について。日々広報活動をしていると、「どこかで」社名などに触れてくださる方がいる。そして、その「どこかで」は決して無視できない。

どういう内容やチャネルで自分の会社を知っていただいたかで、印象はまるで変わるからである。事業や取り組みを多角的に行っている会社であればなおさらだ。
会社に属する自分たちは中で多くを知っているので見落としがちだが、有名でない会社は多くの場合、どこかの一面しか見ていない場合が多いはずである。

私が勤めている会社の場合、「WEBサイトを制作する会社」「人材事業をしている会社」「ママ向けWEBメディアをやっている会社」「多様な働き方を受け入れている会社」「コンサルティングもやっている会社」「広告クリエイティブを制作する会社」…などの見え方があると思われる。
そしておそらく、「多様な働き方を受け入れている会社」で目立っているはずである。なぜならば、これを切り口とした露出が現在は最も多いからである。

また、一時とても知名度が高かったり歴史の長い会社だと特に、事業転換などの事実や今の姿勢については驚くほど伝わっておらず、一面的に見られることすらある。これを払拭するのにもまず必要なのは「今の状況を深く理解いただく」ことである。


知られて、その後どうしたいか?

知られるということは大変喜ばしいことではあるが、知られた後にどうしたいかがないと、目的と手法がちぐはぐになってしまう。

特に【1】ばかり見ている人は要注意だ。新しい方に知られることはとても大事だが、どう知られたいか、知られた後に何をして欲しいかしっかり考えておかないと、骨折り損になってしまう。

【1】を狙うには「目立つ」ことがセットにならざるを得ないところも、不幸を広げていると思う。目立つことを言うが実際は、リップサービス要素が強く、嘘に限りなく近かったら後でがっかりさせてしまうだろう。そしてもしかしたら、目立つことに引き寄せられた人はまた、別の目立つことが見つかったら離れてしまうかもしれない。来訪者数などの数字だけを追いかけているのでは、この事実はきっとわからない。

広報としてぜひ取り組んでいただきたいのは【2】である。とても受け身に見えるだろうし、地味にも見えるだろうが、非常に大事なポイントだ。ここが抜けている広報活動はよく見かける。

ここが抜けると、いくら頑張って【1】を仕掛けても組織に貢献しにくい。骨折り損が増えるのだ。掲載をゴールとして追ってしまうような広報活動をしていたらさらに、目も当てられなくなるだろう。


正しい情報を出せば、成り行き任せを防げる

採用を例にするとわかりやすい。
求職者の方はご自身の人生をかけて仕事を探しているのだから、今持っている一面的な情報以外をも探しているはずだ。だが【2】を怠ると、限られた情報しかなく、それぞれの解釈に成り行きを任せることになる。マッチしない人に応募されたり、マッチする人に遠慮されたり。情報提供が足りず、自社への理解が足りないから、ミスマッチが起こるのである。

ある一面だけ認知して、何か期待してアクションをとってくれる段階の人に、正しい情報を出すことで、その期待値を調整していくイメージだ。
認知はしているが遠巻きに眺めている人よりも、アクションをとってくれる人の方がもっと深く自社に期待をしているはずである。その意味でも、重要視した方が良い。

どこで知られるとどういう会社に見えるのか?
その期待値のままでコンタクトを取っていただくと、その後どう思われるか?
結果的に事業につながるか、それとも骨折り損になるか?

これらをそれぞれのチャネルやステークホルダーごとに考えていくことが大切である。ひとまとめにしがちな「知られる」を細分化していけば、計画も振り返りもしやすくなりミスマッチは少しずつ減っていくと思うので、お困りの方は是非参考にしていただきたい。


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