社内を巻き込む発信活動、最初の落とし穴
相変わらず、「社内広報」「チーム広報」「リモート勤務広報」などなど毎日あれこれ模索しているが、ちょうどこの月末に、社内広報観点から書き留めておきたいことがあったのでまとめておく。
私の広報活動におけるポリシーは、「社内の皆が自慢したくなるようにして、ついみんなが会社のことを言いたくなるようにする」である。このアプローチにしているのは、少人数の広報担当者だけでは会社の多面な側面を見せることができないことと、限られた人数だけで頑張るのでは限界があるからである。
ついでに言うと、社外への発信を頑張って注目度が上がっても、中が整っていなければ社員が価値を享受できないし、ひどい時は、社外の期待値がどんどん上がり、実態との乖離に悩むことになりかねない。
そんな思いで活動をしている中で、先日会社で書いたブログが、「ついみんなが会社のことを言いたくなるようにする」という意味ですごくうまく行った事例になった。一方で、新しい課題や発見もあった。
40記事書いて初、社内の大きい反響
書いたブログは以下。
所属会社はフルリモートワークを受け入れて3年、今は地方在住者を中心に10人ほど受け入れている。制度をつくるだけでは足りず、文化面を含め、地道に皆がそれぞれ努力してここまできた、ということをまとめたものである。
https://www.wantedly.com/companies/novita/post_articles/192169
大きめの打ち合わせが控えていた隙間時間にこのブログを何気なくアップし、社内に報告した。
そうしたら、すぐに見てくれたメンバーから「とてもいい」「感動した」「泣ける」など、いつも書いている記事の時にはない反応をもらった。私の報告slackにスタンプをくれて、積極的にいいねやシェアをくれて、こんな反応あったよと教えてくれた。いつもはあまりいいねやシェアなどやってくれない人も動いてくれた。
これまで私が書いた会社ブログ記事は約40記事。だが正直、これだけの社内反応をもらったことはない。
自分としてはブログのまとめ方はいつもとほぼ変わらなかったつもりだ。強いて言うなら、「メールディスカッションを記事にする」というお題をもらっていたくらいか(普段は結論ありきで書くことが多いので、事象に意味づけてまとめるのはやり慣れていない)。
社内反応が大きかった嬉しさの一方、なんでよかったんだろう? としばらくもやもやした。聞きやすい社内の人にはいろいろ、質問もしてみた。
コンテンツは社内の皆が持っている
あるメンバーからは「プロセスだったから良かった。プロセスは共感できる」ともらった。
また、他のメンバーからは「コンテンツに参加できて嬉しかった」ともらった(その人のメール内容を引用したため)。
他にもいろいろ感想を聞き、そこで出した結論は、普段の記事は「皆がこれは外に言いたいなーっていうエピソードにできてない」という、広報としてはやや不甲斐ない現実だった。
ブログとしてのコンテンツやストーリーを創る力が足りないんだろう、私の。メンバーにとって、「そうそう、これこれ、これが言いたかったの!」になってはいない。だからシェアしない。むしろできない。
コンテンツは社内メンバー皆にある、という間違いのない事実があることを思い知った。
ただ、コンテンツはあるが、それをどう語ったらいいかわからないことが多そうである。
広報は、会社の価値を上げる発信もミッションのひとつなので、できるだけ社外から価値だと思ってもらうため、そのような発信内容、発信環境を整えなければいけない。
会社であったことを明確化する、見えないものを言語化する。それも大事だがそれだけではなく、社内のことをつなげてつなげて、「それはこういうことです」を考えて、言葉にする。
発信をしながら、社内の皆が話せる台本を作る感覚。
ストーリーに意味づけをする、しかも社外だけじゃなくて社内メンバーにとっても。これも、広報の大事な仕事なんだなと思った。
社内の皆は言いたい、でも刺さらない
そして、私の学びはここで終わらなかった。
こんなことを求めてはいけないのかもしれないが、社内の大きい反応に対し、社外の反応はそこまででもなく、大きな差があったのだ。
1つの発信だけで共感いただくのは難しいであろうし、リモートワークというまだまだ浸透していないトピックの、生々しく、しかもキャッチーでないことしか書いていないから仕方ないとも思っている。
もっとも、スタンス提示という意味では意義があったし、見えないところで何かを生んでいるかもしれないので、また次の発信を頑張るだけである。
シェアしてくれたメンバー経由で聞いた感想などによると、リモートワーク当事者や近しい経験をしたことのある方には、非常に興味深く読んでいただけたようだ。
ここでの学びは、「ついみんなが会社のことを言いたくなるようにする」を突き詰めても、それが社外にそのまま刺さるわけではないということだ。時流や期待値、またはターゲットがいるチャネルなどをきちんと見極める必要がある。これらは広報の知識としてよく言われることではあるが、やはりステークホルダーが社外だけでなく社内もとなると、難易度が変わってくると思った。
社風やメンバーのキャラクターにもよるだろうが、感覚的には、「社内が言いたくなる」と「社外が注目してくれる」に発生するずれはかなり大きい気がする。特に社内を巻き込んだ広報に取り組み始めた当初はとても、苦労するのではないか(今、私もここにいる)。
社内を巻き込んだ広報活動のスタート
今後、今回並みに「社内の皆が言いたくなる」発信になるように努力してやり続けて、社内のメンバーが共感して発信するようになって、社外から共感を得る回数が増えれば、また変わってくるのだろう。
「社内の皆が自慢したくなるようにして、ついみんなが会社のことを言いたくなるようにする」という理論は、広報や採用界隈でもちらほら聞こえるようになってきた。そんな中、今回、この理論に近いことを体験できたから、この学びを持って自分の広報スタイルをもっと追求していけるようになった気がする。
実際に、社内では発信や広報職への興味が集まり、空気も少しだけ変化があったように思う。この経験ができたことで、やっと目指す広報スタイルのスタートラインに立ったのかもしれない。
まだまだ努力しなければならないが、自分の広報スタンスをちゃんと実現できるようにこれからも努めていきたい。
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