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「広報が欲しい」のその前に、考えておきたいこと3つ

月1で広報についてのnoteを書くことにしているが、今回は何を書こうか全然思いつかず。最近になっていろいろ、刺激的なインプットをしたからかな。。
でも月1広報noteは死守したいから、粗々だけど「広報立ち上げ」の最初において、今考えていることを書いておく。


広報立ち上げの前には、準備が肝心

広報は単なる「拡声」機能ではない。経営において重要な投資にしたいなら、広報立ち上げ(広報職採用)の前に考えておきたいことがいくつかある。今回はそのさわりを書いていく。

単に拡声するためや、今まで経営者がやってきた露出活動の一部作業を引き継ぐためだけにと考えているなら、きっと投資した以上のものは返ってこない確率が高い。しかも、そのような心持ちで採用した場合、真剣に広報PRを突き詰めてきた人ほど定着せず離職する確率が上がってしまう危険性すらある。そのくらい、広報を立ち上げることは繊細なバランスで成立するものと私は考える。


【考えておきたいこと1】何のために広報をするのか?

おそらく多くの場合が、「もっと知られるために」「もっとメディアに載るために」と考えやすいと思うが、突き詰めると「●●のために知られる」「●●のためにメディアに載る」があるはずである。そこまで、考えていたかを今一度振り返っていただきたい。
また、この部分は深掘りできればできるほどよい。実は、ここを深掘りしておくと、最適解は必ずしもメディアに載ることではなく、自分たちでも十分できることに行き着いたりするからである。

後述する「会社が社会のために・顧客のためにどう考えてきたか」「会社の事業における考え方」などの、自社ブログやSNSなどでの自分たちでの発信も、露出を狙う前に自分たちでやれることのひとつである。マスメディアも、多くの場合インターネットで情報収集をするため、これらを自社で発信しておくことが露出につながることも大いにありえる。


【考えておきたいこと2】「拡声」するための情報は揃っているか?

広報職の意義は単に拡声ではない、と私は考えているので、「知られる、メディアに載る」を目指す機能をここでは「拡声」と表現して話を進める。

拡声を目指すこと自体は普通だし、それを広報職の機能として求めることは自然だが、そもそも拡声するために必要なものがたくさんあることを、知っていただきたい。

わかりやすく言うと、事件を起こしてメディアに報道される、というのもひとつの拡声だと考える。ただ、それによる認知にくっついてくるのは、(どんな事件かによるが一般的には)「事件を起こした」「社会的に信用ならない」「あまり好きではない」などのネガティブな感情であろう。
当然ながら、そんな状態を目指したい訳ではなく、会社が社会のために・顧客のためにやってきたことをその考え方とともに伝え、ポジティブな気持ちとともに広く知られたいと思う経営者の方が大多数であるはずだ。
そうなると、

●会社が社会のために・顧客のためにどう考えてきたか
●会社の事業における考え方

は少なくとも必要になる。
ここを広報としっかり握らないで、「露出だけ取ってきてね」と依頼したところで、多くの場合うまくいかない。しかも先に説明した通り、露出で狙いたいことがはっきりしていないと、せっかく露出したのに事業インパクトはなかった、などもありえる。

そして個人的な経験だと、会社の考え方をひとつに表して説明ができないほど社内がぐちゃぐちゃになっている場合は、拡声ばかり気にしている間に組織が置いてきぼりになっていくので注意が必要だ。

これらの情報整理は、広報職を採用してから手をつけてもいいが、広報がいなくても一定は先んじてできるのでやっておくことをお勧めする。広報の採用活動時に、面接で伝えるのも効果的だ。

もし揃っていないなら、広報職採用後、この情報を揃えるための社内ヒアリングや情報整理に一定の時間をかけることになる。それを許容しないならば、拡声活動すらうまくいかないばかりか、広報担当も居づらさを増してしまうことを覚えておいていただきたい。


【考えておきたいこと3】居づらさを感じる広報担当をフォローできるか?

広報は「投資」であり、すぐに結果(売上貢献、事業貢献するようなもの)が出ない。そればかりか、今すぐ売上貢献できる時間を奪ってまで、まだどうなるかわからない投資活動へ時間を使ってもらうことだってある。

私が見てきた中では、将来的に結果に結びつくことで「あの時やっててよかった」とはなるのだが、目の前の売上と、よくわからない将来の結果を天秤にかけた時、後者(広報=投資)を取れない場合は往々にしてある。

そうなると、社内から「広報は何で必要なの?」という目で見られることを、経営者は知っておいてほしい。
特に広報立ち上げの場合、全社において投資の必要性に対する認識が少なかったり、部分最適を極めて合理的な組織づくりをしてしまっていたりすると、広報担当は孤独になり辛い立場を強いられる。フォローアップが少ないと、最悪の場合退職してしまうだろう。

私も過去、例に漏れずこのシチュエーションに陥った。その時は、たった1名でも社内に理解者がいたことに大きく救われた。
また、上層部の理解が進んで、「ブログを書くことで(広報活動)いい人が採用できたよ(会社への貢献)」などを全社に向けて言ってくれるようになり、それがきっかけで自分の仕事の価値を全社に知ってもらえて、だんだんやりやすくなっていった。

あとは広報担当側も、もはや投資である以上は広報職にとらわれずに、何をすれば「今・経営者が欲しいもので」会社への貢献をするかを考えていく必要があると私は考える。そこで広報という職種の範囲にこだわるのは視座も上がらないし、広報担当としての職域の狭さを伝えるだけで、広報職の立場も下げかねない。
私の場合は(当時は全く仕組みになかった)人事教育を兼務し、新卒教育などを担当することで会社貢献を行った。この辺りは昔、広報担当者の前でLTをした資料にも書いているのでご参考いただきたい。


会社によって、必要なものは違う

広報業界以外ではあまり認知されていないが、「拡声」にあたるような、メディアリレーションズスキルだけでは終わらないのが広報職である。「考えておきたいこと1」は会社によって違うし、「考えておきたいこと2」も会社と広報担当によってかなり違う(相性もある)ことが想像できるところからもわかるだろう。

会社によって必要なものは違うのに、広報としてキャリアを積んできたといっていっしょくたにしてスキルだけで判断するとお互い不幸せな目に遭う。今回は割愛したが、広報担当が会社のマインドと共感し合えていることも非常に大事なポイントになってくる。


今回は概念的な話に終始したが、今度はもう少し事例を深掘り・検証し、またnoteへしたためたい。


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