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生活と行間
時代の隙間に必ず文学が存在している。その膨大さを目の前にすると、いつだって私は死んでしまいたいと思う。
図書館にいるとお腹が痛い、文学に生かされていると信じていたかった。言葉の表面を覆う綺麗な上澄みに騙されていた。生活はもっと生々しくて凶暴だったよ。効かない鎮痛剤とか、クレジットカードの明細とか、遠い国の痛ましいニュースとか、茶葉をケチった薄い紅茶とかで、日々は出来てる。誰かの唯一無二になれないのなら、新明解国語辞典のいかにも狭そうなあの行間に身をうずめてしまいたいな。辞書の3センチ下で苦しくなって吐いた息が、あぶくとなって煌めいて、その煌めきだけを集めてかためて私の代わりにしておいて。本当は辞書の3センチ上を軽やかに歩いていたかったのにさ、そんなに甘やかなものでもなかったんだ、文学は。もう一度だけ言うけど生活はもっと凶暴だよ。実体を持つものは鋭利だと知ったのは最近のこと。
ところで、辞書の中だったら新明解国語辞典が一番すきです。