𓂃𓈒𓏸 𝐍𝐎𝐎𝐊 𝐋𝐄𝐓𝐓𝐄𝐑 𓂃𓈒𓏸 2024年11月号

定期購読マガジン 『𝐍𝐎𝐎𝐊 𝐋𝐄𝐓𝐓𝐄𝐑』 2024年11月号をお届けします

NOOKの活動をもっといろんな方に知ってもらう機会になればと、月に一度、𝐍𝐎𝐎𝐊 𝐋𝐄𝐓𝐓𝐄𝐑を配信しています。
ご購読いただいた売上は、NOOKの活動を継続するための資金として使わせていただきます。またNOOKのWebサイトより、直接ご寄付いただくことも可能です。わたしたちの活動はちいさなものですが、この記録組織を変わらずに続けていくために、どうかご支援いただけますと幸いです。

𝐍𝐎𝐎𝐊 𝐋𝐄𝐓𝐓𝐄𝐑限定のコンテンツは現時点で大きく３つになります。

✦ 語らいの記録 ✎𓂃
『語らいの記録』では、多くの旅を通じて出会った語りを絵画や文章で記録し続けている画家・作家の瀬尾夏美が、毎月ひとつの語りを取り上げ、その語りが生まれた空間をやわらかな文章で編み直します。

✦ 今月の絵手紙 𓍯
『今月の絵手紙』では、画家・作家の瀬尾夏美と、美術作家の佐竹真紀子が毎月担当を交代しながら、ドローイングを交えたみなさまへの絵手紙をお届けします。

✦ 今月のエッセイ 𓅯 ⸒⸒
『今月のエッセイ』では、主に劇作家・演出家である中村大地、映像作家の小森はるか、美術家の磯崎未菜、美術・メディア研究者、映像作家の細谷修平が、交代でエッセイを執筆します。自身の活動についてや、最近ハマっていること、海外での驚きの出来事など、それぞれの視点から紡ぐ季節のエッセイをお楽しみください。

他にも、 NOOKメンバーにやってみてほしいこと、聞きたいこと、お願いしたいことなど、新コーナーのアイディアをいつでも大募集しております。各SNSでのリプライや、ハッシュタグ #NOOKLETTER にて教えてください。❀´-

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今月のラインナップ

語らいの記録：
「いいねえ、描いてみたいねえ（丸森町のおじちゃん）」（瀬尾夏美）

今月の絵手紙：
「塩竈市北浜」（佐竹真紀子）

今月のエッセイ：
「どくんごに愛を込めて」（中村大地）

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それではさっそく、瀬尾さん書き下ろしの語らいの記録からどうぞ。

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語らいの記録 ✎𓂃

17. いいねえ、描いてみたいねえ（丸森町のおじちゃん）

宮城県南部のちいさなまち、丸森の人たちと一緒に人形劇をつくっている。題材になっているのは「やまのおおじゃくぬけ」（https://ikinobirubooks.jp/series/seo-natsumi/553/）という創作民話で、2019年10月に丸森を襲った令和元年東日本台風の経験について聞かせてもらうなかで、わたしが書いたものだ。

台風から一年ほどのある日の会話で、かつて林業に従事していたおじいさんがふと、むかしは土砂災害のことを「じゃくぬけ」と呼んでいたことを思い出し、それを聞いていた人たちが、「“じゃ”はへびのことかもしれないね」「丸森のへびの民話は水害と関係があったのでは？」「そういえば今回おっぽりが出来たところにもへびの民話が……」などと言い、会話がどんどん展開していった。このたびの経験と、被災によって露わになった風景が、先人たちから語り継がれた話とみるみるつながっていく、あのダイナミズムは忘れがたい。そこから着想を得て、五福谷という集落で聞いたお話をベースにしたへびのお話を書かせてもらった。
その後、2022年に町内の斎理屋敷で行なった展覧会（「山つなみ／雨間の語らい」小森はるか＋瀬尾夏美）に仙台在住の人形劇作家・工藤夏海さんが来てくださって、「やまのおおじゃくぬけ」を人形劇にしたいと申し出てくれたことと、地元の民話サークル「丸森ざっと昔話の会」のみなさんがこのお話を語ってみたいと言ってくれたことがきっかけになり、今年の夏から人形劇の制作が始まった。

工藤さんと丸森の人たちが一緒になって人形劇を作っていくその現場は、とてもたのしい。メンバーはその日の作業によって入れ替わりがありつつ、小学生から90代まで。数週間に一度くらいのペースで集まってわいわいと作業をしていると、みんなの創作意欲が溢れてくる。
それぞれに思い思いの人形をつくり（どれもすごく個性的でキュート）、動かし、語ってみる。台本を読み込むなかで、登場人物（動物や山や川を含む）たちの心情やそこに広がる風景を話し合う。台詞の節回しを声に出して調整したり、おおきなへびを動かして踊ってみたり……とにかくなんでも一緒にやってみる。