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胃カメラ雑記その②

 出産後、体力が落ち込んだ私は風邪をこじらせるようになった。こじらせる先は、だいたい副鼻腔炎か扁桃炎。受診先は耳鼻科。だいたい診察時には「はい、鼻から様子みてみましょう」の一言とともに、鼻からカメラを入れられる。結構痛い。けれど、どんなに痛くたって行き着く先は喉までだ。今回は、その先へ行く。ピリオドの向こうへ…。

「目を半開きにして、口も開けっぱなしでね。力を抜いて、遠くを見てください。ぼんやりとしていてください」

 間抜け顔全開だが、お望みとあらばぼんやりしてみせよう。何か違うことを考えよう…午後は何から仕事をするんだったっけ…(健診後、出勤予定だった)

「はい、いれますねー」

 ぬうううう!

 言わんでええ!分かっとる!

「はーい力抜いてー。すーはーすーはー」

 そう…ぼんやり…。ぼんやりだ…。ぬまがさワタリさんの本のことを考えよう…。サバクトビバッタの孤独相と群生相のことを考えよう…。「蝗害」は「こうがい」って読むんだな…。天災の一つ…バッタの本気怖い………ぐおおおおお!!

「鼻の一番狭いところを抜けてますよー。ここ通れば鼻からいけますよー」

 ここか…ここがピリオドか…。ピリオドの向こうは食道だったんだ…ラピュタはあったんだ…。チューブの存在を感じては駄目だ…。感じるとオエッとなって本気リバースしてしまう。(2回目の胃カメラの時になった)

「もうすぐ喉の狭いところに行きます。頑張ってー。ぼんやりしてー」

 頑張ってぼんやりするって何やねん。頑張ってぼんやりするって何やねん(2回目)肩をホールドする看護師さんの手に力が入るのが分かる。分かっとる。ここが最大の山場やて分かってる。何せ今日で胃カメラ3回目やからな!ああああああ!!

「はーい、胃の中に入りましたよー」

 あ、あれ…?

何だか楽な気がする…。今までで一番楽な気がする…。喉の異物感も少ない…………いや、あるわ。オエッてなるわ。

「はい、終わりますよー。少しずつカメラ抜けていきますねー」

 終わりが見えない医療行為は苦しい。けれど、終わりが見えればこんなにも心強い。出産時に「頭見えました!」言われたくらい嬉しい。

 満を持して、鼻からカメラが抜かれる。こんな…こんな長いもんが入っていたというのか…。神はなぜ、こんなにも食道を長く作ってくれやがったのか。

「胃炎ありそうだね」

「えっ」

「胃カメラは毎年受けてね。あと、ピロリ菌の検査も今度したほうがいいかも。おつかれさまでした」


ありがとうございました。

 カスカスの声で頭を下げる。胃炎…ストレスか…!?(同居の)

それよりも毎年…毎年…だと…!?



→to be continued!(来年に)




 


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