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こどもの残酷さを実感する話

 全ては長男が1歳の時から始まった。当時の長男はEテレの「いないいないばあっ」が大好きであった。子供を飽きさせない番組構成、親も懐かしい優しい歌に楽しい歌、魅力的なキャラクターたち。ドラマやバラエティも満足に観られなかった私はEテレの虜になった。

 同時期に「おかあさんといっしょ」にも長男は心奪われた。元気いっぱいのおにいさん、おねえさん。曜日ごとに違う楽しいコーナー。私はますますEテレの虜となる。

 彼が3歳間近になった頃、誰もが知るヒーローが我が家のテレビにやってきた。アンパンマンである。2歳ごろからアンパンマンエイジというらしい。アンパンマンは我が家に風のようにやってきてEテレの存在を霞ませた。

 Eテレの存在感が少なくなった寂しさを感じながらも、私はアンパンマンを受け入れた。私が子供の時とは増えたキャラクターたちを覚えるのは楽しかったし、有名どころの声優たちが演じるキャラクターを探すのも新鮮だった。我が家の録画リストはアンパンマンでいっぱいになった。

 そして、事件が起きる。

 長男が機関車トーマスの存在を認知したことだった。すっかり乗り物大好き坊やと化していた長男がトーマスに惹かれないわけがない。そして、再び膨大なキャラクターたちを覚える日々が訪れた。保育園の持ち物にトーマスが増え、私がキャラクターの顔と名前を大体覚え、クランキー推しになった頃、トーマスは表舞台から去ることとなる。

 現在の息子はひつじのショーンとおしりたんてい、おさるのジャージに夢中だ。録画リストからアンパンマンが消え、トーマスが消え、現在は上記作品でいっぱいだ。

 あんなに好きだったのに。

 J-POPの歌詞のような台詞を、私は何度吐いたことだろう。結局、親のほうが楽しくなってきた時には子供は次の楽しみを見つけている。同じものを一緒に楽しめる期間は存外短い。

 私は今でも、ワンワンも、おかあさんといっしょも、アンパンマンも、トーマスも大好きである。次男も同じ経過を辿れば一緒に楽しめるだろうが、彼は一体何を好きになるだろう。今度こそ置いていかれぬよう、復習は欠かさぬつもりである。


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