コロナでできた上司の空き時間を私がいただく
吊り橋効果的なやつで、絶賛上司(16、17上の独身貴族)に疑似恋心が芽生えそうになっている中、なんとしてでもその芽を間引こうとしている。おい、私は何をやっているんだ。
休職行きの先輩が絶えず、一人残されたぺーぺーの自分がとりあえず何とかしないといけない状況で、頼れるのは直属の上司を1つ超えたそのまた上の上司(役職者)。こんなぺーぺーを相手に溜息を最小限に抑え(本人の前では)、テンパっている私の相手を約1年ほどしてくれている。「近い距離で同じ時間を長いこと過ごしていると、だんだん好きになってくる」といった内容をどこかで見かけたような気がするけど、まさに今それ。それを何と呼ぶかはわからないが、おそらく「吊り橋効果」とかと同じ部類の心理学的なそれだったような気がする。相手の何が好きかは言語化できないけど、なんだか好かれたいなと思うことがここ数か月続いている。
事の発端は、12月の忘年会。店への入店順で席の配置が決まるため、私は仕方がなく上司の隣に座ることに。上司は基本的に仕事中のパーソナルスペースが狭いというか、人との距離が割と近めなのだが、お酒が入るとそれがより一層近くなる。ことをその時はじめて知った。ゆらゆら揺れる感じで肩が時折触れたり、ツッコミの際に腕をぐいぐい押してきたりと、結構予想外だった。予想外な行動にとても驚いたのと、意外と自分は嫌われてはいないんだなという感想と共に、ちんちくりんな私の心がいとも簡単に揺らいでしまった。
連日のコロナ騒動で、在宅勤務が開始され、在宅勤務用に新しいオンラインコミュニケーションツールも導入された。正直チャットは苦手だ。人の顔が見れないコミュニケーションツールはあまり使いたくない。(同じコニュニティーに所属する者同士で使用する場合)一文字一句相手が今どういう感情でその文字を打っているのか、いい意味でも悪い意味でも細かく分析してしまう性分のため、たったひと文返信するにも、必要以上に精神的負荷がかかり、返信する時間をかなり要するからだ。普段怖いイメージがある人のチャットは怖い。(普段強い言葉を発する人が、同じような内容を文字で書き起こすとそれはもう、恐怖でしかなく、精神的負荷は主にここ)普段口数が少ない人とのチャットはなんだか新鮮。年の近い先輩や後輩とのやりとりはいつも以上に適当なやり取りになって、それはそれで気が楽。苦手とは言ったものの、使い方次第で人との心の距離を縮めるツールというのは実感している。そして私は今、まんまと心の距離が縮まったと勝手に思い込み始めたフェーズにいる。
仕事的にはコロナに関わらず納期前で火を吹いている中、幸いにもコロナの影響で、上司のめんどくさい他部署絡みの仕事は減っているように見える。(見えるだけ)それにより、通常よりも自分に割いてくれる時間が増えた。一向に一人前に満たない私の技術力を見兼ねて、これまた丁寧にまるで個別講師のごとく教えてくれるのだ。それに加えチャットでは、必要以上に優しい文面で送ってくる上司。(年下と話す用にあえて優しく、くだけたようにしている感は否めないが)ますます擬似恋心の芽が成長してしまうではないか。裏の顔を未だちゃんと見たことがないから、それを見たら覚めるかもわからない。何はともあれ、この擬似恋心のおかげで上司のために仕事を頑張ろうと思え始めてきたので、「コロナでできた上司の空き時間」を利用して自分の技術力アップと火を吹く仕事の終息に向かってなんとか持ちこたえよう。
コロナが落ち着くころには、仕事も擬似恋心の芽もきれいな平地になっていることを願って。