あの日まで③

月末にこれを書いていましたが引越しの準備でごたつきまして、ようやく更新となりました。
今は堆く積まれた段ボールに囲まれています。この生活がいつまで続くのか。

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2月も暮れになりまして、ようやく今日は少し晴れましたね。
ここのところは梅雨顔負けの天候が続いてベッドから起き上がれないでいました。

引越しの準備をしに実家に戻ってきたのですが、そもそも僕の地元は大阪でも下町とされる古臭い場所で育ちました。今でこそ天王寺は栄えましたが、その高いビル群が見える少し離れた地域です。
子供の頃は栓抜きが本体に付いたコカ・コーラの自販機がありましたし、自転車のホイールに棒を当てて転がす『はだしのゲン』でしか見たことない遊びが流行っていたように記憶しています。


『はだしのゲン』中沢啓治(著) / 汐文社
表紙になるほどポピュラーだったんでしょうか。この遊びのゴールとは。

そこから引越しを二回ほど経て現在の実家がある地域へ来たのは中学二年生の頃でした。
大阪市内とはいえ、決して便利な場所ではありません。
分かりやすく言えば駅前には『おはぎの丹波屋』があり、現在は軒並み『じゃんぼ總本店』に変わっている景色が広がっています。

この年齢になるとそうしょっちゅう戻ってくるものでもありませんので、改札を通って降り立つ度に「この街も変わらねぇなぁ…」と小さいハンバーグ師匠が出てきます(頭の中で)。

引越しの都合で昨晩、久しぶりに訪れたのです。
この変わらない街で唯一のユニクロが潰れていました。
めちゃくちゃ変わっていました。多くの方がご想像されるユニクロではありません。
初代のデカい“コンテナタイプ“の店舗がだだっ広い平地になっていたのです。

もちろん華やいだ色味のラインナップは入荷されていませんでしたので翳りは感じていました。いざ無くなってみると、大阪の田舎感に拍車が掛かった景色に声が出ました。
「うわっ!」ぐらいの大声(ハンバーグのボリューム)が出てもおかしくないシチュエーションではありました。
そこは絶賛闘病中の人間でございます。

「ほぇ〜…」でした。
人は草臥れるとそう簡単に大声は出ないものですね。

※下記の投稿は以前『野村文庫』に掲載された記事を加筆・修正したものです。

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