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海外旅行が教えてくれること

旅行が好きだ。特に海外旅行。団体ではなく個人旅行。理由はトラブルがつきものだから。母国を離れ、母国の通貨、文化、常識から離れ、お前の当たり前なんて鼻くそ以下だバーロー、とパンチをくらいながら異国の地を歩くのが良い。
海外旅行に行く時の「自分探しの旅」という決め台詞があるが私としては「自分壊しの旅」の方がしっくりくる。

感覚でいうと逆仮装。

仮装はメイクや服装を変える事で自分の地で違う人間になれる。旅行は逆。その地に行くと周りが全部仮装しているよう。気楽な格好のままいつもの自分とは違う自分になった気になる。

常識とはなんと儚いものか。という快感もある。お金が請求されたものはちゃんと払うこと、必要ならお釣りはちゃんと返ってくること。トイレは綺麗なこと。トイレに扉があり鍵がついていること。出てくる食品、食器、カトラリーは清潔なこと。店員は優しいこと。椅子に荷物を置いて食事をすること。

母国の当たり前は通用せず、うっかりすればすぐにぼったくられ、腹は壊れ、中国人と間違えられ、手持ちの荷物は無くなっていく。

そしてそんな中にいて唯一の協力者となる同行者と起こるいざこざも好きだ。窮地に立たされ続けるなか、相手の本性が嫌という程見えるしもちろん自分もあばかれる。

自分ってこんな所を気にするのか。相手はそんな所を気にするのか。決断をする時にかかる時間や判断材料も知れる。次はどこに行こう、この場所に行く手段は、所要時間、費用は。では今何をすべきか。旅行前の計画時から、現地で計画が倒れた時の対処含めやりとりは大変面白い。

大人になると仲の良い相手と逃げ場のない険悪な雰囲気になることも、あと1歩で取っ組み合いの喧嘩になるのかという事も滅多にない。しかし海外旅行中にはあとで酒を飲んで屁が出る程笑えるような喧嘩を味わえる。

男女であれば新婚旅行と言わず付き合ったらすぐ行ってみて頂きたい。私は交際期間半年以下で結婚したが、一緒に行ったベトナム旅行で随分相手の事が分かった。

最初私がホテルを間違えるというミスを彼は責め、あーそういう態度とるのね。と思ったつかの間、今度は彼がタクシー代を10倍額払ってお釣りを貰わず、その上財布を落とした。仕返しのつもりで全く責めず慰めると、以降彼は旅行中、日本に戻ってからも私のミスを責めた事がない。柔軟で、自分を改めるスピードが早いなと尊敬している。

旅行から戻り逆仮装を満喫し、母国に戻ると身の回りの全てに感謝出来るのも楽しい。とりあえず言葉がちゃんと通じお釣りを渡してくれる店員にハグをして感謝を伝えたくなる。職場に戻りイラつく上司や手のかかる部下を見ても、でも言葉も通じるし借りたものは返してるし良い奴だよな、ととんでもなく低いハードルで人を褒めたり尊敬する事ができる。

異国から日本に来てくれたであろう人を街中で見ると時間の許す限りもてなしたくなる。それは色々トラブルのある中、英語もまともに話せない自分に親切にしてくれた旅行先の人全てへどうにか母国で恩返ししたくなるのだ。

なんだここは!すぐ騙すし盗むし!おちおち寝られないじゃないか!最悪だよ!と憤慨した次の日に、命の恩人や神様みたいな人に会う事もある。〇〇人だから、という国籍のレッテルなんて本当に馬鹿馬鹿しい、どの国だろうと悪い奴もいれば良い奴だっているんだと身に染みる。

好き好んで犯罪や窃盗に巻き込まれたいという訳ではないが、トラベルはトラブル、往復の飛行機とホテルだけ予約し、あとはパスポートと地球の歩き方とスマホがあればいーやくらいの気持ちで、気軽に行った先でとんでもない目にあってまた楽しみたい。




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