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2024、ナイツの街で食べ歩き

ナイツ独演会@鎌倉芸術館に行ってきた。毎年チケットが取れない公演だが、今年幸いにも初当選した。
 
中津川弦くんの前座で始まり、お囃子が鳴り始めると会場が一気に寄席の雰囲気になった。浅草に行かずとも湘南の地でこの雰囲気を味わえるのはありがたい。
舞台袖から入ってきたナイツの印象は「思ったより細い!」。舞台に立つ中年漫才師が、マイクの前に二人揃ってすくっと立ち、スーツが似合うだけでも格好いい(とは贔屓目か)。嫁から太るなと言われ、ダイエットしているという塙さんの話もあった。同じ中年として、彼らの影の努力に目で必死に拍手を送る。いくらファンでもテレビだとこういうところまで見られない。
 
内容はたっぷり二時間半。ふりかえるとナイツの街を一緒に食べ歩いたような感覚である。時事ネタという視点で今年を切り取りながら、ワハハがははと食べ歩く、日本のどこか身近な街。浅草のような、ないような。
たとえば三味線の音色につられ、とある雑居ビルの店に入る。すると今年のあのネタでどどっと笑いが起きている。それをみんな一緒に味わい尽くす。まるでむしゃむしゃと、しゃぶしゃぶの豚肉でも食べるかのように。
「あ~楽しかった!美味しかった!」とひと息つくと、別の道においでおいで、と土屋さんが。次は中華の店に案内され、「こっちの杏仁豆腐も美味しいよ!」。
そうかそうかと思い、またみんなで皿に取り分けて食べる。そうして気づくと今年の一年が走馬灯のように頭をめぐり、お腹は丁度いい具合に満ちている。笑いで自然とフルコースが完成した。
 
実は数日前に大きな仕事が重なり、開演前に列に並んでいられないほど疲れた身体で観に行った。終演後、ふたりの真似をしてすくっと座席を立ってみた。私もちゃんと自分の足で立てた。彼らの街へ誘われて、ぺろっと平らげた笑いのフルコースがすっかり私の栄養になっていた。

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