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私的遠視メガネ史

メガネを新調した。

6代目を買ったのが高校生のとき。下校の坂を走ってたら手が5代目に当たって、ミサイルのごとく石の塀に衝突した。左のテンプルが折れて惨めな姿だった。
あの頃はレンズが高くて重かった。遠視乱視弱視の3コンボメガネを作るには、レンズ1枚一万円の計三万は下らなかった。

学生になり上京し、コンタクトに変えることを決心した。メガネは自分の重さに耐えきれず、大好きなラーメンにダイブする姿を見るに耐えられなかった。
当時は遠視のソフトコンタクトは買えなかった。だから、目の中でゴロゴロと動き回るハードを買った。それでも嬉しかった。遠視ハードは端のほうが薄いせいで、近視よりも割れやすいという。よく割れた。割れた事に気づかずつけて、痛くていたくて涙を飲んだ。

二十歳になる頃、コンタクト屋さんに「ソフトにしませんか?」と言われた。「すいません。遠視なんです。」と返したら、「特注になりますけど遠視ソフトが変えるようになったんです。」と言われた。
なんという企業努力。ありがとうSEED。

そして今、メガネによって光がもたらされてから22周年。誕生日の自分へのご褒美にオンデーズに行った。『破天荒フェニックス』でずっと気になっていた。薄型レンズで目の大きさの変化を小さくした会社、メガネをファッションにした会社。
視力検査は一瞬で、かなり細かいところまで結果を出した。てっきり待ち時間入れても1時間はかかると思ってたら、まさかの15分だった。
フレームは、小さい頃つけてた丸メガネより少しシャレたものを選んだ。僕の医療器具眼鏡の時代は終わったのだ。

「遠視なので目は大きくなってしまいますね」と店員さん。いや、十分じゃないか。かつてのお化け拡大おめめは鏡にはない。レンズもこんなに軽いものなのか。

「かけて帰りますか?」
オズオズと聞かれる。
もちろんだとも。
梅田駅の混雑をスキップして帰った。

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